知らぬ間に年会費を取られ続けていたケースも…亡くなった人のクレジットカード「解約手続き」の手順【相続専門公認会計士が解説】

知らぬ間に年会費を取られ続けていたケースも…亡くなった人のクレジットカード「解約手続き」の手順【相続専門公認会計士が解説】

利用者が亡くなったからといって、クレジットカードは自動的に利用停止や解約にはなりません。そのため知らぬうちに年会費がかかり続けていた…なんていうことも。本記事では、相続専門の公認会計士・税理士として活躍する石倉英樹氏が、著書『税金のことが全然わかっていないド素人ですが、相続税って結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)から、亡くなった人のクレジットカードの解約手続きについて詳しく解説します。

亡くなった人のクレジットカードは必ず解約手続きを

クレジットカードは利用者が亡くなったからといって、自動的に利用停止や解約にはなりません。亡くなった人のクレジットカードは必ず解約手続きを行いましょう。

 

手続きはクレジットカード会社によって異なりますが、基本的には家族などの法定相続人がクレジットカードの裏面か、明細書に記載してある電話番号に問い合わせて、利用者が亡くなった旨を伝え、解約手続きを行います。また、クレジットカード会社によっては必要書類の提出を求める場合もあるので、その際は書類を提出します。

 

なお、亡くなった人が利用していたクレジットカードがわからない場合は、銀行口座の履歴などを見てクレジットカード会社を特定します。クレジットカード会社によって解約手続きは違うので、必ず亡くなった人が利用していたクレジットカード会社に連絡を入れて、解約手続きの方法を確認しましょう。

 

電話で解約できない場合に必要な書類

•退会届等各種届出書(カード会社所定の書類)

•利用者の死亡の記載がある書類:死亡届の写し、戸籍謄本、除籍謄本、住民票除票など

……など

 

[図表]

クレジットカードを解約する前に確認すること

クレジットカードを解約する前に次のことを確認しましょう。

 

●公共料金・インターネットなど自動引き落とし設定がある場合は?

公共料金、携帯電話料金、インターネット、サブスクなどの支払い方法をクレジットカードに設定している場合は、各契約先に解約または支払い方法の変更を依頼します。

 

●年会費がかかるカードの場合は?

年会費はクレジットカードを解約するまでかかります。亡くなった人のクレジットカードが年会費のかかるカードの場合は、年会費が引き落とされる期限以前に解約しましょう。

 

●家族カードや付帯カードの場合は?

亡くなった人が本会員(代表会員)の場合、亡くなった人がクレジットカードを解約すると、家族カード、ETC、PASMO、Suicaなどの付帯カードも同時に解約になります。なお、家族カードのみの引き継ぎはできないので、新規に本会員として登録手続きが必要です。

 

●電子マネー機能付きカードの場合は?

PASMOやSuicaなどの定期券が搭載されているカードは、必ず定期券発売所で退会手続きを行いましょう。

 

●クレジットカードにポイント・マイルが貯まっている場合は?

クレジットカードのポイントは、解約すると失効する場合が多いです。ただし、JALやANAなどのマイルが貯まるクレジットカードの場合、マイルは相続の対象になります。詳しい手続きなどは、必ずクレジットカード会社に連絡して確認しましょう。

 

●リボ払いや分割払いなどの未払い分がある場合は?

亡くなった人がクレジットカードでリボ払いや分割払い、キャッシングなどを利用していた場合、未精算金や返済額などの未払い分が残っていることがあります。これらの未払い分は「マイナスの相続財産(債務控除の対象)」になります。よって、相続人が相続放棄をしない限り、支払う義務が生じます。クレジットカード会社から未払金の請求が届いた場合、相続人は支払わなければなりません。明細書は相続税を計算するときに使うので、大切に保管しましょう。

 

亡くなった人のローン残高は「信用情報機関」で調べられる

亡くなった人のカードローンや借金がどこにあるかわからない場合、また、どの会社で契約していたかわからない場合には、信用情報機関を利用しましょう。

 

信用情報機関には金融機関、クレジットカード会社、消費者金融などが加盟しており、信用情報が共有されています。主な信用情報機関は次の通りです。

 

クレジット会社からの借入
CIC(クレジット・インフォメーション・センター)


金融機関からの借入
全国銀行協会

消費者金融からの借入
日本信用情報機構

 

利用する場合は、開示請求の方法や必要な書類などが、各ウェブサイトに詳しく記載されていますので確認してください。

 

また、亡くなった人の開示申し込み手続きができるのは、法定相続人と法定相続人の代理人などです。

 

 

イラスト ©中山成子

 

石倉 英樹

相続専門の公認会計士/税理士 兼 社会人落語家

 

※本記事は『税金のことが全然わかっていないド素人ですが、相続税って結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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