23区「一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数」は増加
65歳以上人口の総人口に占める比率は、現在29.0%。高齢化に伴い、「一人暮らし高齢者」が増加傾向にあります(65歳以上を高齢者と定義)。
内閣府『令和5年版 高齢社会白書』によると、令和2年時点で高齢男性の6.7人、高齢女性の4.5人に1人が一人暮らしです。この割合は年々高くなっていくと推計されています。
一人暮らし高齢者の方々が不安視するのは、孤立死。令和3年度版の同調査によると、「誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死」と定義づけられた本問題について、「とても(身近に)感じる」と「まあ(身近に)感じる」と答えた人の割合は、60歳以上の全体では34.1%であるものの、一人暮らし世帯では50.8%と急騰する結果となりました。
実際、東京23区内における一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、令和3年に4,010人となっています。
孤立死を防ぐため、今住む家を手放し、老人ホームに入居というのも、考えられる選択肢です。しかしそのためにはお金が必要。入居形態によって費用は様々ですが、個室でゆったりとした生活を送りたいとなると、月々20万円程度は想定すべき、といわれています。
単身高齢者は資金繰りに余裕があるのか? 『家計調査年報』(令和4年)より高齢単身無職世帯のお金事情を見てみると、実収入は「13万4,915円」。一方、社会保険料などを含む非消費支出と日々の消費支出はあわせて「14万3,139円」。毎月「2万580円」の赤字が出ていることが明らかになっています。
病に伏す前に、お金が尽きる前に、誰かに何かを、伝えられないのか。実は日本の高齢者、各国と比べて「コミュニケーション不足」な傾向にあります。
■各国の60歳以上「近所の人とのつきあい方」最多回答(複数回答可)
日本……外でちょっと立ち話をする程度(64.7%)
スウェーデン……外でちょっと立ち話をする程度(88.5%)
アメリカ…相談ごとがあったとき、相談したり、相談されたりする(42.1%)
ドイツ……お茶や食事を一緒にする(46.3%)
さらに「病気の時に助け合う」と回答した割合は、アメリカ38.9%、ドイツ30.1%、スウェーデン8.9%、日本5.0%であったほか、家族以外の人で相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人が「いずれもいない」と回答した割合は、日本31.3%、アメリカ14.2%、ドイツ13.5%、スウェーデン9.9%と、日本人の孤独な実態が露わになっています。