実は、実家を引き継げる可能性もあった!?
結果的に実家を売却せざるをえなかったAさんですが、実はAさんには実家を引き継げる可能性もありました。
お母様からの相続財産は、自宅不動産とわずかな預貯金をあわせておよそ4,000万円だったそうです。お父様はすでに他界されています。法定相続人はAさんと妹の2人で、相続税の支払いはなかったそうです。法定相続分はそれぞれ2分の1ずつでした。
一方、相続発生時、Aさんの資産はおよそ1,200万円でした。現役時代は高所得だったAさんですが、もともと趣味が多く、妻に渡す生活費を除いて働いて得た収入のほとんどを自由に使っており、退職金をのぞいて準備できていた老後資金は多くありませんでした。
また、相続でもめることもまったくの想定外だったため、相続のための準備もされていませんでした。Aさんが妹に分割分を支払い、実家を相続するという方法もあったようですが、Aさんにとってそのような選択を行うことは困難だったそうです。
裁判所の「令和4年 司法統計年報(家事編)」によれば、遺産分割事件の容認・調停成立件数のうち、遺産価額1,000万円以下がおよそ3割を、遺産価額1,000万円超5,000万円以下がおよそ4割を占めており、およそ4分の3が遺産価額5,000万円以下の相続で発生しています。
一方、遺産分割事件のうち、当事者の数に関する統計を見てみると、当事者数が2人のケースが29%、3人のケースが27%を占め、およそ56%が3人以下で発生しています。
Aさんのように不動産を相続する場合は、基本的に分割できない点や現金化に時間がかかる点にも留意すべきでしょう。一度トラブルになると長引くケースも目立ちます。遺産総額や相続人の人数に関わらず、相続の準備をしておくことは大切です。
老後は資産の取り崩し期にあたります。それまでに築いてきた資産を活用していくことが求められます。準備をしていればご自身の晩年の選択肢を増やすことができていたかもしれないことを思うと、悔やまれてなりません。
内田 英子
FPオフィスツクル
代表
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

