今回は、相続対策として土地活用を行う際に注意したい「空室リスク」や「流動性リスク」について見ていきます。※本連載は、ランドマーク税理士法人の代表税理士・清田幸弘氏の著書『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、お金持ちの人にこそ知ってほしい「資産を残す方法」をいくつか紹介します。

少子高齢化社会では長期的に賃貸需要は減少

アパート・マンション経営は、相続税対策として有効ですが、「落とし穴」もあります。

 

【賃貸経営の落とし穴】

•空室が多いと家賃収入が見込めない

「自分の土地を守りたい」「自分の土地を手放したくない」「自分の土地に愛着がある」という理由から、多くの地主は、「自分の土地」にアパートを建てたがります。ですが、その土地が賃貸経営に適しているとは限りません。

 

「駅から近い」「商店街やショッピングモールがある」「交通の便が良い」など、十分に入居者が見込める場所であればいいのですが、「駅から離れている」「交通の便が悪い」「ラブホテル街にある」「お墓の近くにある」など、周辺環境の悪い場所に建っていると、空室率が高くなる可能性があります。

 

また、少子化傾向は今後も続くことが予想されていますから、長期的に考えると、入居者が減っていくことはあきらかです。

 

「自分の土地に新築の物件を建てたい」という地主の気持ちもわかりますが、立地が良くないのなら、「入居率が悪くない中古の物件」を購入するほうが、確実に家賃収入を見込めるでしょう。

 

•入居者が少ないと、借入金の返済ができない

アパートを建築する場合には、返済期間の長い大きな借り入れをすることになります。将来にわたって借入金を返済していけるのかどうか、しっかり検討することが大切です。

 

家賃収入でローンの返済をしようと計画しても、入居者がいなければ返済できず、負債だけが残ってしまいます。

現金化に時間がかかる「物件付きの土地」

•現金化に時間がかかる

相続税対策として、所有している「すべての土地」にアパート・マンションを建てようとする人がいます。

 

ですが、土地は、建物が建ってしまうと売りにくくなるので、「すべての土地」に賃貸物件を建てるのは、リスクが大きい。

 

相続が発生した場合、遺族が相続税を払うときに現金を持っていないと、「土地を売って現金をつくろう」と考えます。けれど、物件が建っていると買い手を見つけるのに時間がかかります。

 

また、借入金の抵当権がついていると売却できませんし、売却できたとしても、借入金の返済で納税分がなくなってしまうケースがあります。

 

•「家賃保証」を鵜呑みにできない

アパート・マンションの新築に際し、空室時の「家賃保証」をしてくれる管理会社があります。たとえ空室でも毎月の家賃を保証するしくみです。

 

空き室にかかわらず「毎月家賃が入ってくる」というメリットがある一方で、定期的に「賃料の見直し」があるので、そこで減額される可能性があります。

 

物件を建てても、相続税対策にならなければ、意味がありません。

アパート・マンションの新築を検討する場合は、土地周辺にある他のアパート・マンションの入居率や空室率を調べて、利回り(支出に対する利益の割合)をきちんと計算し、「家賃保証会社に頼らなくても家賃回収ができるか」を試算する必要があるでしょう。

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    本連載は、2016年10月3日刊行の書籍『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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