五大改革指令と民主化
「婦人参政権の付与」の実現
〔幣原内閣〕のもとで衆議院議員選挙法が改正され(1945.12)、20歳以上の男女が選挙権を持つことになりました。戦後初の総選挙では(1946.4)、大日本帝国憲法下の帝国議会衆議院に、女性議員39名が誕生しました。男女同権を定めた日本国憲法が公布・施行される前に、女性参政権が認められたのです。
「労働組合の結成奨励」と労働基本権の確立が実現
労働組合法(1945)で団結権・団体交渉権・争議権(ストライキ権)が保障され、労働関係調整法(1946)で労働争議の解決方法が定められ、労働基準法(1947)で労働条件の最低基準が1日8時間と定められました(工場法は廃止)。さらに、労働省も設置されました。労働者の社会的地位が安定し、購買力が向上して国内市場が形成されれば、植民地獲得の侵略戦争は不要になります。
「教育制度の自由主義的改革」の実現
GHQは軍国主義的な教員の追放を指示し、国定教科書の不適当箇所が「墨ぬり」され、戦前の道徳や皇国史観などが否定されて修身・日本歴史・地理の授業が一時禁止されました。
そして、教育基本法(1947)で日本国憲法の精神に基づく民主主義教育の理念が示されて、教育の機会均等・男女共学・義務教育9年が定められ、学校教育法(1947)で新学制(機会均等を実現する6・3・3・4の単線型学校制度)が定められました。
さらに、教育委員会法で教育行政が地方分権化され、教育委員は地域住民の公選制となりました(のち自治体首長の指名による任命制に)。一方、天皇中心の明治憲法体制を支えてきた教育勅語は、国会決議により排除・失効が確認されました。
「秘密警察などの廃止」(圧制的諸制度の撤廃)の実現
治安維持法や特高が廃止され(1945.10)、共産主義者などの政治犯が釈放されました。〔東久邇宮内閣〕が実行できなかった人権指令を〔幣原内閣〕が実行した形となりました。ただし言論の自由は制限され、「プレス=コード」によってGHQへの批判は許されず、マスコミに事前の検閲が行われました。
「経済機構の民主化」の財閥解体
財閥は、陸海軍と結んで大陸進出や南方進出に協力し、軍国主義を助長した側面がありました。GHQは日本が二度と戦争に訴えることのないよう工業生産力を抑制し、経済を弱体化させることを狙って財閥解体を進めました。
GHQが15財閥の資産凍結を指令したのち(1945.11)、持株会社整理委員会(1946)が持株会社保有の株式を譲渡されて一般に売却しました。これにより、株式所有による傘下企業への支配が無くなり、コンツェルンが解体しました。そして、独占禁止法(1947)で持株会社・カルテル・トラストを禁止し、公正取引委員会を設置して監視させました。
さらに、過度経済力集中排除法(1947)で各業界を支配する巨大企業を分割することにして、325社を分割指定しました(銀行は分割の対象外)。しかし、占領政策の転換で、解体は不徹底となりました(分割は11社のみ、独占禁止法も緩和)。冷戦下でソ連との対決姿勢を強めたアメリカは、日本経済の弱体化を望まなくなったのです。
のちの高度経済成長期、解体されなかった旧財閥系の銀行を中心に、企業集団(三井・三菱・住友・第一勧銀・富士・三和)が形成されていきました。
「経済機構の民主化」の農地改革
寄生地主制下で高額の小作料を負担する小作農の貧困が、国内市場の狭さを生み、植民地獲得の侵略戦争につながりました。GHQは、地主が貸す小作地を開放して小作農に取得させ、自作農創出を狙って農地改革を進めました。
〔幣原内閣〕の第1次農地改革では、所有地に居住しない不在地主の小作地はすべて開放の対象となったものの、所有地に居住する在村地主の小作地は5町歩(1町歩は約1万㎡)を超えた部分しか開放されませんでした(5町歩までの部分は地主所有のまま)。また、土地譲渡は地主と小作農との協議で行われ、不徹底でした。
そこで、改革が不十分だとGHQは判断し、〔第1次吉田茂内閣〕が制定した自作農創設特別措置法などに基づき、第2次農地改革が実施されました。在村地主の小作地は1町歩(北海道では4町歩)を超えた部分を開放の対象とし(1町歩までの部分しか地主は所有できない)、開放される面積を拡大しました。また、土地譲渡は国家が地主から強制買収して小作農へ売却する方法に改め、徹底しました。残った小作地も、小作料が現物納から金納になりました。
結果、小作地が全農地の約5割から約1割に減少し、小作農が激減する一方、地主の経済力や社会的地位が失われ、寄生地主制は解体されました。しかし、創出された自作農の多くは零細農家で、農業協同組合(農協)が各地に設立され農業経営を支援しました。また、山林は対象外で、山林地主は残りました。
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