<前回記事>
藤原道長「この世をば わが世とぞ思ふ」…“エラソーな和歌”を詠んでしまうのも〈納得〉のワケ
道長、真夜中の電撃来訪…これって今ならパワハラ&セクハラ!?
ある夜のこと。紫式部の寝ていた部屋の戸を激しく叩く人がいます。あまりの恐ろしさに放っておいたところ、その翌朝、道長から、
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【夜もすがら 水鶏(くいな)よりけに なくなくぞ まきの戸ぐちに たたきわびつる】
(⇒訳:一晩中、私は水鶏が鳴く以上に泣きながら貴女の部屋の戸を叩いて嘆き明かしたことだ。)
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という歌が贈られてきました。紫式部は負けじと返歌します。
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【ただならじ とばかりたたく 水鶏ゆゑ あけてはいかに くやしからまし】
(⇒訳:普通じゃない勢いで戸を叩く貴方のことゆえ、もし戸を開けてしまったらどんなにか後悔したことでございましょうね。)
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紫式部が戸を開けてくれなかったことに恨み節の歌を贈る道長、それに対して紫式部は「ただならじ」の歌を返しました。現代ならパワハラかセクハラで訴えられそうな道長の行動ですが、果たしてこれで道長は紫式部のことを諦めてくれたのでしょうか?
紫式部が「道長からの誘い」を断るのは当然
当時、女房の局(つぼね。部屋のこと)を男性貴族が訪れることは日常茶飯事でしたが、なにせ相手は今をときめく道長です。ここで紫式部が道長を部屋に入れてコトを起こせば、どう隠そうとも皆に知れ渡ってしまって一大スキャンダルとなること必至です。
中宮彰子や道長の正室倫子、そしてせっかく仲良くなった同僚女房たちに対してどう言い訳したものか…紫式部がそう考えて道長からの誘いを断るのは当然でしょう。
ただ、一度は断ったとしても、最後まで道長からの誘いを断り続け(られ)たのかどうかは不明です。南北朝時代の公家系譜の集大成である『尊卑分脈(そんぴぶんみゃく)』には、「紫式部は藤原道長の妾(しょう)」と書かれています。
「道長と紫式部は男女の仲だった」…現代なら週刊誌が飛びつき、ワイドショーで連日放送されそうなビッグニュースですが、その可能性はかなり低いと思われます。でも、一度くらいは何かあってもおかしくはない関係ですね。
板野 博行
岡山朝日高校、京都大学文学部国語学国文学科卒。ハードなサラリーマン生活から、予備校講師に転身。カリスマ講師として、全国の生徒に向けての講義や参考書を執筆。『紫式部日記』の中で好きな女房は「和泉式部」、好きな男性貴族は「藤原実資」。
著書に、『眠れないほどおもしろい源氏物語』『眠れないほどおもしろい百人一首』『眠れないほどおもしろい万葉集』『眠れないほどおもしろいやばい文豪』『眠れないほどおもしろい徒然草』『眠れないほどおもしろい平家物語』『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』『眠れないほどおもしろい日本書紀』『眠れないほどおもしろい徳川実紀』『眠れないほどおもしろい信長公記』(以上、三笠書房《王様文庫》)の他、多数。
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