(※写真はイメージです/PIXTA)

藤原道長が自身の最盛期に詠んだ「望月の歌」。「この世をば わが世とぞ思ふ…」というストレートな表現はインパクトが強く、偉そうにも聞こえますが、道長がそう詠むのも当然かもしれません。“アンチ道長”も驚嘆する「道長一家の繁栄ぶり」とは? 板野博行氏の著書『眠れないほどおもしろい紫式部日記』(三笠書房)より一部を抜粋し、解説します。

<前回記事>
【NHK大河ドラマで話題】『紫式部日記』は中宮彰子の出産記録だが…著者・紫式部、彰子様のご出産中は「もう気絶寸前」だった

道長が「この世をば わが世とぞ思ふ」のも当然!?

『紫式部日記』と『源氏物語』、この二作を書いたのはもちろん紫式部ですが、彼女の才能に目をつけ、この世に送り出したのは藤原道長!! パトロン道長の存在なくして紫式部の才能の開花はなかったと断言できます。

 

その道長ですが、道長といえばこの歌!! というくらい有名な歌がありますね。

 

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【この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば】

⇒訳:この世はすべて私(道長)のためにあるのだと思う。満月が欠けることなく完全なものであるように、この世のすべてが我が意に満ち足りていると思うので。

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ここまでエラソーに言える道長がうらやましくもあります。これに匹敵するゴーマンな言葉は、「平家にあらずんば人にあらず」くらいのものでしょう。

“アンチ道長”も驚嘆する「道長一家の繁栄ぶり」

この歌は、1018年、三女威子の立后の日に道長の邸宅で行われた祝宴の際、藤原実資(ふじわらのさねすけ)に向けて道長が詠んだものです。時に道長は53歳。長女・彰子(一条天皇の中宮)、次女・妍子(三条天皇の中宮)に続いて三女・威子を後一条天皇の中宮にさせるという、道長一家の繁栄ぶり。

 

これを聞いたアンチ道長の実資ですら、「一家立三后(いっかりつさんごう)、未曾有なり」と、ただ驚嘆の言葉を発するしかありませんでした。

 

また道長の栄華を支える財源となった荘園*も、「天下の地は悉く道長の領地となった」と、実資が嘆くほどの独占ぶりでした。

 

(*荘園…寺社や貴族が財力によって新しく開墾し、自分の領地とした大規模な田地のこと。)

その後、六女まで入内させた道長。前代未聞・空前絶後の大出世

ちなみに、「望月の歌」の返歌を求められた実資は「やってられるか!!」と、心中の煮えくり返る思いはまったく見せず(笑)、丁重に断りつつ、その場にいる公卿たち全員でこの歌を詠ずることを提案しました。そして、それを受け入れた一同が繰り返しこの歌を詠じたといいます。

 

何人もの公卿サマたちが、「この世をば~」と声を揃えて朗詠している姿、それを満面の笑みで聞いている道長サマの姿を想像すると、なんだか笑ってしまいますね。

 

道長は、さらに六女の嬉子を敦良親王(のちの後朱雀天皇)に入内させました。その結果、後一条天皇・後朱雀天皇・後冷泉天皇、3人の天皇の外祖父として左大臣・摂政・太政大臣を歴任し、娘三人は太皇太后、皇太后*、皇后になるという前代未聞、空前絶後の出世を果たしました…書くだけで疲れるほどのご栄達です。

 

(*太皇太后、皇太后……太皇太后は先々代の天皇の后。もしくは当代の天皇の祖母。皇太后は天皇の母で皇后であった者。)

 

 

板野 博行

岡山朝日高校、京都大学文学部国語学国文学科卒。ハードなサラリーマン生活から、予備校講師に転身。カリスマ講師として、全国の生徒に向けての講義や参考書を執筆。『紫式部日記』の中で好きな女房は「和泉式部」、好きな男性貴族は「藤原実資」。

著書に、『眠れないほどおもしろい源氏物語』『眠れないほどおもしろい百人一首』『眠れないほどおもしろい万葉集』『眠れないほどおもしろいやばい文豪』『眠れないほどおもしろい徒然草』『眠れないほどおもしろい平家物語』『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』『眠れないほどおもしろい日本書紀』『眠れないほどおもしろい徳川実紀』『眠れないほどおもしろい信長公記』(以上、三笠書房《王様文庫》)の他、多数。

 

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    ※本連載は、板野博行氏の著書『眠れないほどおもしろい紫式部日記』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    板野 博行

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