恐ろしい…銀行員が経営者へ「根抵当権の設定」をしきりに勧めるワケ【ベテランコンサルタントが解説】

恐ろしい…銀行員が経営者へ「根抵当権の設定」をしきりに勧めるワケ【ベテランコンサルタントが解説】

経営者は銀行員の言葉に「どういう意味なのか?」と疑問や不安を感じることがあるのではないでしょうか。ここでは、銀行員のひとことに秘められた真意について、ベテランのコンサルタントが解説します。※本連載は、川北英貴氏の著書『社長、この1冊で融資交渉が強くなります! 銀行員のそのひとことには理由がある』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

融資を回収していきたい…(銀行員の心の声)

「借入金を減らしていきましょう」

 

銀行は融資量を増やすことで、得られる利息も増えます。そのため、銀行はつねに融資を増やしたいと考えるものです。実際、銀行の営業係に課せられる営業目標には〈融資量の増加〉という目標もあります。

 

このようななか、銀行員が「借入金を減らしていきましょう」と言ってきた場合、その銀行員は〈この会社への融資を回収していきたい〉と心のなかで思っていることが多いです。「借入金を減らしていきましょう」と言ってくる場面は、次の2つがあります。それぞれの場面で見てみます。

 

①社長が銀行員に融資の相談をしたとき

社長が銀行員に融資の相談をしたところ、銀行員から「御社は借入金が多くなっているので、むしろ借入金を減らしていったほうがよくないですか?」と言われた場合、新たな融資は難しいことが推測されます。「融資を申し込まれても審査は通らないです」と言うと社長を怒らせるおそれがあることから、このように言って、その場をとりつくろおうとするのです。

 

この場合、銀行員に「借入金は減らしたいと思っていますが、今は融資を受けたいです」と聞いてみてください。融資の審査を行ってくれるのかどうかを確認して、新たに融資を受けられる可能性がないのなら銀行員にはっきり言ってもらうべきです。

 

②ふだんの銀行員との会話で

担当の銀行員と話しているなかで「借入金を減らしていきましょう」と言われた場合、その銀行員には具体的なねらいがあることが多いです。そのねらいの例は次のとおりです。

 

(ねらい、その1)〈保証付融資で得た資金でプロパー融資を返させたい〉

運転資金として信用保証協会の保証付融資を受けて、融資で得た資金を資金使途どおりに仕入や経費の支払いで使い、それを銀行が確認した後、銀行員が「借入金を減らしていきましょう」と勧めてきた場合。

 

具体的には「先日の融資1500万円(保証付融資)で預金残高が増え、毎月の返済金額が大きくなっていますが、御社は2年前に実行された融資の残高が1000万円(プロパー融資)残っているので、それを一括で返して毎月の返済金額を減らしたらどうですか?」などといった勧め方です。

 

このような場合、ふつうは仕入や経費の支払いを行う一方で売上入金もあるため、預金残高は多く残っています。

 

そこで銀行員の言うままに、プロパー融資を一括返済すると、結果としてプロパー融資を保証付融資で借り換えたのと同じ(銀行としては保全強化に成功した形)。業績や財務内容が悪く、銀行としては保全を強化したい会社に、「借入金が多いから」とか「毎月の返済金額が大きいから」「金利が高いから」といった理由でプロパー融資の一括返済をすすめたい。この真のねらいを隠したままの提案にはのってはいけません。

 

(ねらい、その2)〈不要な不動産などを売却して融資を返させたい〉

不動産や車両、機械などで不要なものがある場合、「御社は借入金が多くなっています。○○の土地は使っていないので売却して、借入金の返済にあてたらどうですか?」と勧めてきます。

 

不要な不動産などを売却するのは良いのですが、売却して得た現金をそもそも借入金返済にあてる必要があるのか、考えたいです。

 

担保に入れている不動産であれば、担保の対象となっている融資を返済しなければ担保を外せないため、売却で得た資金は借入金返済にあてる必要があります。一方、担保に入れていない不動産であれば、それを売却しても借入金返済にあてる必要はありません。売却後は預金でおいておき、資金繰りをラクにする、もしくは不要な不動産などでも急いで売らないなど、自社にとってどうするのが最も良いのか、よく考えましょう。

 

《ポイント》

銀行員が「借入金を減らしていきましょう」と言ってきた場合、実は融資の回収をしたがっているケースが多い。銀行員の真のねらいを考える。

 

 

川北 英貴
株式会社グラティチュード・トゥーユー 代表取締役

 

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※本連載は、川北英貴氏の著書『社長、この1冊で融資交渉が強くなります! 銀行員のそのひとことには理由がある』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

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