ときには、他行の預金口座の解約まで要請されることも…!
「他の銀行とつきあわないでもらえますか?」
銀行員から「他の銀行とつきあわないでもらえますか?」と言われることがあります。このことばの意味は、「他の銀行からは融資を受けず、自分の銀行のみから融資を受けてほしい」というものです。
融資云々(うんぬん)だけでなく、「他の銀行の預金口座を解約してほしい」とまで言ってくる銀行員もいます。
そうした銀行員の言うことを真に受けて、一つの銀行のみで融資を受けている場合、その銀行がこれからも社長の希望どおりに融資を出してくれればよいですが、絶対とは言えません。自社の業績や財務内容が悪化し、その銀行が融資を出さなくなったとき、他の銀行から融資を受けるという選択肢がとりづらくなってしまいます。
一つの銀行のみで融資を受けてきたのであれば、他の銀行へは新規で融資を申し込むことになりますが、この場合、審査はなかなか通らないものです。銀行は新規の会社への融資には慎重になるからです。
融資を受ける銀行が一つしかないことは、企業にとってデメリットが大きいです。複数の銀行、できるだけ多くの銀行から融資を受けるようにしましょう。多くの銀行から融資を受けるメリットは次の4つです。
1.融資の選択肢を広げられる
多くの銀行でふだんから融資を受けておき、返済実績をつけておけば、一つの銀行で融資を断られた場合、他の銀行に融資を申し込むことができます。銀行は、新規の会社への融資には慎重です。ふだんから多くの銀行で融資を受け、返済実績をつけておきましょう。
2.銀行間で競争させることができる
一つの銀行のみで融資を受けていると、銀行間の競争が発生しません。多くの銀行から融資を受け、銀行間で競争させることで、より良い条件の融資を受けやすくなります。金利が低い融資、プロパー融資、担保なしの無担保融資などです。
3.銀行の統合に備えられる
銀行の数は年々、減少しています。この30年間、銀行・信用金庫・信用組合を合計した数は1988年の1085社から2018年の559社とほぼ半減しています。金利の低下により銀行の収益が厳しくなっていることから、今後も銀行の統合が進んでいくことが予想されます。
融資を受けている2つの銀行が統合してしまったら、融資を受けている銀行の数が少なくなってしまいます。銀行の統合は同じ地域や近隣の銀行の間で行われることが多いので、なおさらその可能性は高いです。融資を受けている銀行同士の統合に備え、多くの銀行から融資を受けるようにしましょう。
4.ダメな担当者・厳しい支店長にあたるリスクを分散できる
仕事ができなかったり仕事のやる気がなかったりとダメな銀行員がいます。そのような担当者にあたると、融資が受けづらくなります。また、融資の審査が厳しい支店長にあたることもあります。多くの銀行から融資を受けていれば、ある銀行でダメな担当者や厳しい支店長にあたっても、他の銀行へも融資を相談できるのでリスクを分散できます。
《ポイント》
銀行員から「他の銀行とつきあわないで」と言われて従ったら企業にとってリスクが大きい。そのことばには従わず、多くの銀行から融資を受けるようにする。