(※写真はイメージです/PIXTA)

人生の一大イベントともいうべき「マイホーム購入」。その際、多くの人にとって、切っても切り離せないのが「住宅ローンの返済」ですが、住宅ローン・不動産分野で活躍するブロガーであり、公認会計士の千日太郎氏は「定年退職時の住宅ローン残高がいくらなのかが、老後破産をしないために非常に重要」と言います。千日氏の著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より、詳しくみていきましょう。

「繰り上げ返済」には2つの方法がある

このように「定年時の残高」と「毎月の返済額」がトレードオフとなる場合、「毎月の返済額」を小さくすることを優先すべきことをお勧めしています。

 

なぜなら、借入期間は後から繰り上げ返済することによって、任意のタイミングで任意の期間に短縮することができるのです。なお、繰り上げ返済には期間短縮型と返済額軽減型の2つのタイプがあります。

 

(1)期間短縮型:繰り上げ返済によって返済期間を短縮するタイプで、毎月の元利均等返済額はそのままです

 

(2)返済額軽減型:繰り上げ返済によって毎月の元利均等返済額を減らすタイプで、返済期間はそのままです

 

期間短縮型で繰り上げ返済することで返済期間を短縮することができます。つまり、自ら主体的に繰り上げ返済することで、後からでも「定年時の残高」はコントロール可能なのです。

 

しかし、後から「毎月の返済額」を少なくすることは簡単にはいきません。収入が減少し毎月の返済が厳しくなった場合に、住宅ローンの期間を延長して毎月の返済額を小さくするには、個別に金融機関に「返済条件の緩和」をしてもらわなければならないのです。

 

この場合は、期間を延長することで確実に返済継続ができるという返済計画を提出し、金融機関の厳しい審査を受けることになります。また、このことは個別信用情報(いわゆるブラックリスト)にも登録されることになり、一定期間は他の借入やクレジットカードの審査が通りにくくなるなどの弊害があります。

 

住宅ローンの「定年時の残高」がいくらになるのか? ということは老後破産しないために、非常に重要なポイントです。しかし、収入が減少する潜在的なリスクが高くなっているコロナ渦にあっては、「毎月の返済額」を安全圏とするため、返済期間を長くとることをより優先すべきです。

借り換えて返済期間を延長することもできる

最初に住宅ローンを組む時点で返済期間を最長にしておくことが理想ですが、収入が減ってしまう前であれば住宅ローンを借りる金融機関を変更する、いわゆる借り換えによって後から返済期間を延長することも可能です。借り換えとは、新たに別の金融機関で住宅ローンの契約を結ぶことで現在の住宅ローン残高と同額の融資を受け、その資金で現在の住宅ローンを完済することです。

 

借り換えによって、現在の住宅ローンは完済しゼロとなりますので、新たな金融機関で契約を結びなおすことができるのです。借り換えに伴って、住宅ローンの期間を延長し、ボーナス払いをやめることで、「毎月の返済額」のリスクを減らすことが可能となります。

 

また、現在融資されている金利が適用されます。金利が低くなっている場合は従前よりも低金利となって利息の負担を減らすことができます。借り換えにはある程度の費用がかかりますが「毎月の返済額」のリスクが減り、適用金利が下がって利息の負担が減るのであれば、ある程度の費用を払っても借り換えるべきです。また、借り換え費用も込みで新たな住宅ローンとして借りることができる金融機関もあります。

 

 

千日 太郎

オフィス千日 代表社員
 

 

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※本連載は、千日 太郎氏による著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より一部を抜粋・再編集したものです。

住宅破産

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千日 太郎

エムディエヌコーポレーション

日常の家計収支の面では賃貸も住宅ローンも同じです。住宅ローンを滞納すると、住宅を手放さなければならなります。マイホームの使用価値を享受するために所有者が払うリアルな金額は毎月の住宅ローンの返済額です。マイホーム…

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