ちょっとした工夫で退職金の手取りは増やせる
退職金の額は減少傾向にあります。もっとも、そもそも退職金は支払いが義務付けられているお金でもありません。それに、政府はリスキリング( 学び直し)を通じて成長分野の人材を増やそうとしています。ひとつの会社で勤め上げて退職金をたくさんもらうという雇用の形態自体が、今後は少なくなっていくかもしれません。
しかし、退職金自体は増やせなくても、退職金の手取りを増やす方法はあります。
退職金にも所得税や住民税といった税金がかかりますが、この後で解説するように受け取り方を考えて、退職所得控除や公的年金等控除といった控除をうまく活用すると、退職金の手取りを多くすることができます。
また、再就職・再雇用時の契約で給与の一部を退職時の退職金に回して後払いしてもらったり、退職するタイミングを1日ずらしたりするだけでも税額が減り、手取りを増やせます。退職金のほかにiDeCoの資産がある場合も、どちらを先に受け取るかによって手取りが変わるのです。
このように工夫するかしないかで、退職金の手取りに百万円単位の差がつくこともありえるのです。ちょっとの違いで損することのないように学び、実践しましょう。
残念ながら退職金からも「税金」が引かれる
毎月の給与と同じように、退職金にも所得税と住民税がかかります。退職金にかかる所得税・住民税は、退職金の受け取り方によって金額が変わってきます。
退職金の受け取り方には、大きく分けて「一時金」「年金」「一時金&年金」の3種類があります。
退職金を一時金として一括で受け取るときには「退職所得」という所得になります。退職所得は分離課税といって、他の所得とは区別して課税されます。退職所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額を算出します。なお、一時金の場合は社会保険料の負担がありません。
退職金を年金で受け取る場合は「雑所得」という所得になります。雑所得は、他の所得と合わせての総合課税。雑所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額を算出します。また、年金で受け取る場合は社会保険料もかかります。
退職金を一時金&年金で受け取る場合は、一時金の部分は退職所得、年金の部分は雑所得として税金を計算します。
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