消費税無申告者への追徴課税「過去最高」
令和4年7月から令和5年6月までの間、国税庁がおこなった所得税の実地調査(特別調査・一般調査・着眼調査)の件数は4万6,000件。簡易な接触を含めると63万8,000件で、このうち申告漏れ等が発見されたのは33万8,000件でした。
調査全体での申告漏れ所得金額は9,041億円、追徴税額は1,368億円にものぼり、過去最高となりました。1件当たりの申告漏れ所得金額は1,456万円です。
国税庁は「無申告は、申告納税制度の下で⾃発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなる」として、調査体制を強化しています。
その結果、所得税無申告者に対する調査件数は、5,229件と、前事務年度の3,828件より大きく数を増やしました。1件当たりの申告漏れ金額は2,711万円で、所得税の実地調査全体の1,456万円に比べ1.9倍となっています。
消費税無申告者に対しても同様の傾向がみられ、7,615件と、前事務年度の5,257件より大きく数を増やしています。1件当たりの追徴課税額は260万円で、過去最高となっています。
申告漏れ所得⾦額が⾼額な業種に大きな変化
同調査で公表された『事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得⾦額が⾼額な上位10業種』によると、上位10業種に変化が見られました。令和4事務年度と令和3事務年度の上位10業種を見ていきましょう。
■令和4事務年度 事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得⾦額が⾼額な上位10業種
1位 経営コンサルタント…1件当たりの申告漏れ金額3,367万円・追徴課税676万円
2位 くず金卸売業…1件当たりの申告漏れ金額2,483万円・追徴課税952万円
3位 ブリーダー…1件当たりの申告漏れ金額2,075万円・追徴課税454万円
4位 焼肉…1件当たりの申告漏れ金額1,611万円・追徴課税319万円
5位 タイル工事…1件当たりの申告漏れ金額1,598万円・追徴課税266万円
6位 冷暖房設備工事…1件当たりの申告漏れ金額1,520万円・追徴課税287万円
7位 鉄骨、鉄筋工事…1件当たりの申告漏れ金額1,440万円・追徴課税261万円
8位 太陽光発電…1件当たりの申告漏れ金額1,391万円・追徴課税289万円
9位 バー…1件当たりの申告漏れ金額1,391万円・追徴課税250万円
10位 電気通信工事…1件当たりの申告漏れ金額1,374万円・追徴課税223万円
出所:令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況