(※写真はイメージです/PIXTA)

就活に失敗→職を転々とするも上手くいかず、実家に引きこもってしまう……昨今「オトナの引きこもり」が深刻化しています。現役時代、地元の有力企業で部長職に就いていたAさんは、息子による「実家占拠」が原因で、悠々自適なセカンドライフどころか、破産の危機に陥っていたのでした。牧野FP事務所の牧野寿和CFPは、Aさんにどのような助言を行ったのでしょうか、みていきます。

試算の結果判明…A家に待ち受ける「破産の未来」

話を聞いた筆者は、まずA家の今後の家計収支について試算しました。

 

出所:筆者が作成
[図表]Aさん定年後の主な年金収入と貯蓄額 出所:筆者が作成

 

現在の夫婦の年金収入は、312万2,700円(月額26万200円)です。

 

一方、支出は、夫婦の分とCさんの国民年金や家族全員の国民健康保険料、諸税(非消費支出)を含めて約444万円(月額37万円)。夫婦の家計収支は毎月約10万円、年間120万円の赤字と、明らかにCさん分の支出が負担になっていることがわかりました。

 

Cさんが無職で家にいるまま家計が推移していくと、Aさんが80歳になるあたりで残高が底を尽きます。そうなると、残る資産は住宅だけにです。

 

このまま事態が改善しない場合、A夫婦は80歳を過ぎてから慣れ親しんだ自宅を売却し、年金で家賃が払える賃貸住宅を探さなければならないという「最悪の事態」に陥る可能性があるのです。

就職氷河期世代には「国の救済制度」がある

筆者は夫婦に、「Cさんに現実を直視させるためにも、次のような話をしてみては」と以下の3点の改善策を提案しました。

 

1.このままでは家計が破産することを知らせる

2.「就職氷河期世代活用支援」を活用する

3.Cさん用の賃貸アパートの入居費用と1ヵ月分の生活費を貸す

 

1.このままでは家計が破産することを知らせる

息子さんがどうにか働き、夫婦2人での暮らしになれば、これからは毎月26万円の年金収入と約1,000万円の貯蓄で貯蓄が枯渇することなく生活できます。筆者の作成した試算表を参考に、「息子の分まで支払う余裕がない」と正直に話し、理解させることが大切だと話しました。

 

2.「就職氷河期世代活用支援」を活用する

「就職氷河期世代活用支援」とは、

 

・正社員就職を目指す求人や職業訓練を紹介する「ハローワーク」

・働くことに不安や悩みがある方にコミュニケーション講座やビジネスマナー講座、ジョブトレなどを行うことで働く準備をサポートする「サポステ」

・社会参加への準備支援、家族支援それに引きこもりなどの相談・サポートをする「各種支援機関」

 

など、就職氷河期世代を官民で支援するプロジェクトのことです

※ 厚生労働省「就職氷河期世代活用支援」HPより。

 

Cさんは、この支援を活用することで自身に適した職業を見つけたり、就業の支援を受けることができます。まさにCさんにとっての「救済制度」といえるかもしれません。

 

3.Cさん用の賃貸アパートの入居費用と1ヵ月分の生活費を貸す

Cさんがこのまま実家の“ぬるま湯”で生活を続けては、親子共倒れになりかねません。そこで、賃貸アパートの入居費用と1ヵ月分の生活費を貸すことで、Cさんを自立させるのもひとつの手です。

 

A夫妻に一連の話をしたところ、夫婦は2つ目までは頷きながら聞いておられましたが、3つ目については迷っている様子。「もう少し考えてみます」と言い、その日は帰っていきました。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
※本記事で紹介した介護サービスの手続きの詳細は、自治体ごとに異なるところがあります。
<参考>
厚生労働省「就職氷河期世代活用支援」(https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/)

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