遺言者が認知症の場合…「判断能力」で有効・無効が異なる
しかし、認知症のお年寄りが書いた遺言書は、上記の「意思能力」の問題とは分けて考えなければなりません。
認知症の方をはじめ、高齢者や病人に対しては、「制限行為能力者制度」というものがあります。これは、判断能力が十分でない「制限行為能力者」を守るための制度です。この制限行為能力者は、未成年者のほか、その症状の重さによって「成年被後見人」、「被保佐人」、「被補助人」に分けられます。
<制限行為能力者の分類>
- 未成年者……18歳未満の者
- 成年被後見人……精神上の障害などによって、常に判断能力を欠く状況の者
- 被保佐人……判断能力が著しく不十分な者
- 被補助人……判断能力が不十分な者
このうち、被保佐人・被補助人に該当し意思能力があれば、補佐人・補助人の同意がなくても遺言を作成することが可能です。
しかし、2番目の「成年被後見人」に該当する場合、事理弁識能力を常に欠く状態にあるということで、原則として単独では遺言書を作成することができません。民法では、この被後見人の遺言に関する規定を以下のように定めています。
第973条
1.成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければならない。
2.遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
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