(※写真はイメージです/PIXTA)

「年間110万円までの贈与は非課税だから、相続税対策として生前贈与が有効」とはよく聞きます。しかし、生前贈与にも注意すべきポイントがあり、「安易に生前贈与をしていると、後で贈与を受け取った子や孫が「多額の贈与税」を支払わなければならない可能性があると、司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏はいいます。具体的な事例をもとに、その原因や解決策についてみていきましょう。

「暦年贈与」とは?

そもそも歴年贈与というのは、「1月1日~12月31日までの1年間(暦年)で贈与額が110万円以下であれば増与税が発生しない」という制度を用いた方法のことです。110万円以下であればお金だけでなく、土地や建物も贈与することが可能です。

 

毎年110万円を非課税で移すことができるため、有効な相続税対策といわれています。

 

しかし、この制度をよく理解せずに利用すると、大きな落とし穴にはまってしまうことがあるため注意が必要です。どのような点に注意が必要なのか、事例をもとにみていきましょう。

生前贈与を受けていた孫…突然の「深刻な事態」に唖然

都内在住の智さん(仮名)は、同じく都内に住む父方の祖父母(佐々木夫妻)から110万円の贈与を10年間受けていました。この暦年贈与は、「智さんの誕生日である1月8日に、智さんの預金通帳にきっちり110万円ずつ振り込む」という形で行われていました。

 

そんなある日、お正月に親戚一同で集まったときのことです。広島から上京していた母方の祖父母(中野夫妻)は、佐々木夫妻が暦年贈与によって相続税対策をしていると聞き、「それなら私たちも」と思いました。そして、その年から中野夫妻も智さんの誕生日に110万円ずつ、暦年贈与を行うようになったそうです。

 

どちらの祖父母からも「贈与したお金は将来のために貯金しておきなさいよ」と言われていた智さんですが、交友関係が広く趣味も多かったことから、毎年振り込まれるとパッと使ってしまっていたそうです。

 

その後しばらくして、税務署から思いもよらぬ知らせが届きました。なんと智さんは、知らぬ間に「高額な贈与税」を納税しなければならないことになっていたのです。

 

「可愛い孫にはできるだけたくさんの財産を遺し、将来困らないようにしてあげたい」という祖父母の想いとは裏腹に、智さんは大変な事態に追い込まれるはめになってしまいました。

 

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