亡き父の遺言「全財産は次女へ」に55歳姉、ブチ切れ→修羅場へ…争点は"チラシの裏を使った遺言書”に〈法的効力〉があるか【司法書士が解説】

亡き父の遺言「全財産は次女へ」に55歳姉、ブチ切れ→修羅場へ…争点は"チラシの裏を使った遺言書”に〈法的効力〉があるか【司法書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

不仲な姉と、亡くなった父の遺品整理をしていた百合子さん(仮名・50歳)。すると、ベッドの裏から「チラシ裏に書かれた遺言」を発見します。内容は、「全財産はすべて次女に」というもの。姉は激怒し、大喧嘩に……「そんな落書きみたいなものが、有効なわけない!」と言い張る姉。はたして、このような遺言書は法的に認められるのでしょうか。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が事例をもとに解説します。

注意!要件が揃っていても「無効」となる場合も…

克昭さんの遺言書は、上記の要件を満たすものでしたので、家庭裁判所に提出後、有効な遺言書として認められることとなりました。先述したように、たとえチラシの裏であっても、民法上の規定に沿ったものであれば立派な遺言書として認められます。

 

ただし、以下のような場合は要件が揃っていても無効となる可能性が高くなります。

 

  • 夫婦共同で1通の遺言書を作成している場合
  • 遺言者(遺言をのこす人)以外の者が書いている場合
  • 土地、建物の記載があるが、特定できない場合
  • 「私の財産はすべて次女に任せます」など、内容があいまいで不明確である場合や理解不能である場合

 

このように、せっかく遺言の要件を満たすものであっても、被相続人の意思が明確に表されていなかったり、夫婦で1枚の遺言書を作成してしまうと無効になってしまうため注意が必要です。

 

まとめ…おすすめは「公正証書遺言」

遺言書には、今回の事例で紹介した自筆証書遺言以外にも、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」などいくつか法的に有効な遺言を作成する手段があります。

 

自筆証書の場合、要式を満たさず無効となってしまったり、要式が有効であっても偽造ではないかなどの確認作業やトラブルに発展する可能性がありますが、公正証書で作成すれば、公務員である公証人が職務として作成するため、要式違反で無効になるリスクはほぼありません。したがって、可能であれば公正証書遺言の作成をおすすめします。

 

また、遺言はいちど作成したあと変更することも可能です。ゆえに、被相続人の意思をしっかり相続に反映させるためにも、元気なうちから専門家に相談し、準備を進めることをおすすめします。

 

 

加陽 麻里布

司法書士法人永田町事務所

代表司法書士

 

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