亡き父の遺言「全財産は次女へ」に55歳姉、ブチ切れ→修羅場へ…争点は"チラシの裏を使った遺言書”に〈法的効力〉があるか【司法書士が解説】

亡き父の遺言「全財産は次女へ」に55歳姉、ブチ切れ→修羅場へ…争点は"チラシの裏を使った遺言書”に〈法的効力〉があるか【司法書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

不仲な姉と、亡くなった父の遺品整理をしていた百合子さん(仮名・50歳)。すると、ベッドの裏から「チラシ裏に書かれた遺言」を発見します。内容は、「全財産はすべて次女に」というもの。姉は激怒し、大喧嘩に……「そんな落書きみたいなものが、有効なわけない!」と言い張る姉。はたして、このような遺言書は法的に認められるのでしょうか。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が事例をもとに解説します。

司法書士がチラシ裏の遺言を「有効」と判断したワケ

司法書士に「チラシ裏の遺言書」について相談したところ、「『自筆証書』のため家庭裁判所に検認を申し立てる必要があるが、おそらく有効であろう」という見解でした。その理由は下記の5点です。

 

①被相続人が全文自署したものであること

②ボールペンで書いてあるため、他人が書き直すことができないこと

③細かな日付が記載されていること

④財産の承継方法が明確に記載されていること

⑤署名捺印がされていること

 

つまり、上記の要件がすべて揃っていれば、チラシの裏に書かれた遺言であっても有効と判断される可能性が高いということです。

 

「自筆証書遺言」のルール

民法では、自筆証書遺言について以下のように定められています。

 

第968条

1.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない。

 

2.自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

 

その他にも、遺言書が有効となるには、書いた本人に「遺言能力」がなければなりません。遺言能力とは、遺言をのこす本人がその内容を理解・決定でき、それにより自身の死後どのような結果になるかを理解できる能力のことです。民法では、遺言能力に関して以下のように定められています。

 

第961条

15歳に達した者は、遺言をすることができる。

 

第963条

遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

 

したがって、15歳以下の者が遺言をのこすことはできません。

 

泥酔時に書いた遺言は認められない 

また、民法第963条は、「遺言作成時に意思能力を有していなければ遺言能力は認められない」としています。これはつまり、たとえば泥酔した状態の男性が遺言書を書いたとしても意思能力が認められないため、その遺言書は無効とされる可能性が高いということです。

 

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