「デモクラシー思潮」の高まり
大正時代、国民の自由拡大や政治参加の要求が高まりました。その思潮を支えたのは、憲法学者美濃部達吉の天皇機関説と、政治学者吉野作造の民本主義です。
美濃部は、近代国家において統治権は法人としての国家に属し、天皇は国家の最高機関として憲法に従い統治権を行使する、という学説を唱え、統治権は神聖不可侵の天皇が無制限に保持する、という天皇主権説を唱えた上杉慎吉と論争しました。天皇を近代的な立憲君主と位置づけ、その無制限な権力行使を否定した美濃部説は、憲法解釈の主流となりました。
吉野は、“democracy”の訳語として、国民主権を意味する「民主主義」(これは天皇主権の憲法規定に抵触)ではなく、民衆本位の政治を意味する「民本主義」を採用しました。そして、明治憲法の枠内で一般人民の幸福実現をめざし、その手段として普通選挙制と政党内閣制を実現すべきだと提唱しました。吉野の考えは雑誌『中央公論』に掲載されて大きな反響を呼び、吉野は知識人の黎明会や学生の東大新人会を組織して民本主義を広めました。
労働階級の社会運動が発展
大正初めに鈴木文治が結成した友愛会は労資協調主義でしたが、戦後恐慌で解雇が拡大すると、日本労働総同盟と改称し(1921)、階級闘争主義のもとでストライキを指導しました。
また、初のメーデーも開催されました(1920)。
賀川豊彦・杉山元治郎は日本農民組合を結成し(1922)、小作農が寄生地主に対して小作料の引下げなどを求める小作争議を指導しました。
「冬の時代」だった社会主義運動はロシア革命の影響で復活し(日本社会主義同盟)、堺利彦・山川均は革命での労働者政権樹立と平等実現をめざす日本共産党(コミンテルン[国際共産党]の日本支部)を結成しました(1922)。
明治末期、平塚らいてうが青鞜社を設立し、雑誌『青鞜』を発刊しました。創刊号の巻頭には「元始、女性は実に太陽であった。」で始まる有名なフレーズがあり、これは女性解放運動の始まりを告げる宣言でした。
のち、市川房枝・平塚らいてうが新婦人協会を結成し(1920)、女性の政治的権利を獲得する運動を展開しました(治安警察法第5条の改正を実現)。
さらに、市川房枝が婦人参政権獲得期成同盟会を結成しました(1924)。
明治初期の身分解放令以降も続く社会的差別に対し、政府に頼らず差別撤廃を働きかける部落解放運動が起こり、全国水平社が結成されました(1922)。
山中 裕典
河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校
講師
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