山林を相続したくない時はどうする?
山林を相続しても明らかに維持・管理の負担が大きく、有効な活用法も見つからない場合は「相続放棄」を検討してみましょう。
相続放棄は遺産を受け取らない代わりに、被相続人の債務を返済しないという方法です。もともとは被相続人の借金額が多く、遺産相続をしたら多額の返済が必要となるため、借金の相続を避けるために用いられます。
相続放棄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ期限内に申述します。ただし、相続人が相続開始を知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申立てなければいけません。
なお、申述する際は収入印紙800円分を用意し、申述書や被相続人の住民票除票・戸籍謄本、申述人の戸籍謄本等を提出します。
山林を「相続後」に手放したいときの対処法
山林を相続したものの、相続人本人ではとても維持・管理が難しい場合は、次のような方法を検討しましょう。
・寄付する:地方自治体や民間会社に山林を寄付する
・売却する:森林組合や山林バンク(全国の山林売買のマッチングサイト)を利用し、買主を探す
・相続土地国庫帰属制度の利用:相続等で取得した不要な山林を国に返却できる制度
なお、相続土地国庫帰属制度は無条件で利用できるわけではなく、次の条件を満たす必要があります。
・建物がある土地や一定の勾配・高さの崖等がない山林であること
・制度利用時、10年分の管理費用相当分の負担金を納める
・申請する前に相続登記をしている
山林の相続税評価の計算方法
山林の相続税評価方法は、山林の種類ごとに次のような計算方法で算定します。
・純山林(市街地から離れ宅地の影響が及ばない山林)および中間山林(宅地の影響が多少及ぶ山林)→倍率方式
・市街地山林(市街地にあり宅地の影響を大きく受ける山林)→比準方式または倍率方式
倍率方式とは、固定資産評価額に一定の倍率を掛け算し、相続税評価額を算定する方法です。
例えば、山林の固定資産評価額が150万円、評価倍率が3.0ならば、相続税評価額は450万円(150万円×3.0)となります。
一方、比準方式とは、山林を宅地として評価したとき価額から、宅地転用の造成費用を控除して評価額を算定する方法です。
例えば、1m2あたり20万円の宅地としての価値があり、宅地転用の造成費用が1m2あたり10万円かかる山林(面積が150m2)のケースならば、(20万円-10万円)×150m2=1,500万円
よって、1,500万円が相続税評価額となります。
山林の権利について。過去に起きたトラブル例と対処法を解説
山林を相続したものの、維持管理になかなか手が回らず、所有している山林で土砂崩れが発生、近隣の住民などに被害を与えたという例があります。
この場合には、近隣の住民と次のようなトラブルが発生するおそれもあります。
・近隣の住民の敷地に流入した土砂・がれきの撤去費用の請求
・土砂崩れで被害を受けた近隣の住民の損害賠償請求
損害賠償請求については、例えば過去に土砂崩れの可能性が何度も指摘されていたものの、それを無視し続けた場合、山林の所有者の過失が認められ、賠償金を命じられる可能性が高いです。
維持管理に限界を感じたら、なるべく早く森林組合や地方自治体に相談し、寄付や売却、相続土地国庫帰属制度の利用を実行した方が良いでしょう。
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