新NISA、現行のNISAよりも運用できる金額が大きくなった
生徒:いよいよ新しいNISA制度が始まりますね。これまでのNISA制度よりも節税枠が大きくなると聞きました。
先生:2024年から始まる新しいNISA(少額投資非課税制度)は、投資できる金額が年間360万円、投資枠の合計が1,800万円となっていて、現行のNISAよりも金額が大きい制度ですね。
生徒:これまでのNISAを利用されている方は、新しいNISAに切り替わるのですか?
先生:いいえ。新NISAは既存のNISAの利用状況に関係なく、ゼロから始められる制度です。既存のNISAで投資した資産は、新NISAでの投資とは別枠で運用することが可能です。併用することができるというわけですね。
生徒:私は既存のNISA口座で運用しています。2024年には新しいNISA口座を開設したいのですが、既存のNISA口座のある証券会社と同じ証券会社でなければ開設できないのでしょうか?
先生:いいえ。新しいNISAに利用する証券会社を変えることは可能です。ただし、NISA口座開設の手続きが必要になるので、既存のNISAで利用してきた証券会社を使い続ける方が多いでしょうね。
「成長投資枠」という名称から、先入観を持つ人多数だが…
生徒:新しいNISAには、「つみたて枠」120万円と「成長投資枠」240万円があるそうです。「成長投資枠」では、どのような商品に投資すべきでしょうか?
先生:運用益が非課税になる投資枠が合計して1,800万円あるので、なにを買えばよいのか悩みますよね。ここで重要な心構えをお教えしましょう。
生徒:ぜひ教えてください!
先生:重要なのは、
★成長投資枠では、つみたて投資枠と同じ商品に投資してもいい
★成長投資枠を使わずに、つみたて投資枠の商品だけに一括投資してもいい
ということです。「成長投資枠」という別の名前がついているので「つみたて投資枠とは別の商品に投資するもの」とイメージされるかもしれませんが、それは誤解です。金融機関が手数料の高い商品を売るために「成長投資枠ではこちらの商品がお勧めです!」などと提案してくる可能性があるので、注意が必要ですね。
生徒:「成長投資枠だけの商品」が発表されていますが、これはどのようなものでしょうか?
先生:「成長投資枠だけの商品」には、隔月の分配型の投資信託など、配当や分配金が現金で支払われる商品があるため、注意が必要です。これは、証券営業マンが、高齢者に対して「分配月を公的年金とズラして自分で作る、年金のようなものですよ」といった営業トークをしやすくするものですが、そもそも複利の効果が損なわれていて、資産形成に向かない商品です。
生徒:そんな酷い商品がNISAの対象になっているのですね…。それでは、成長性が高い特別な商品があるのでしょうか?
先生:NISAで取り扱う対象はお金ですね。最も効率よくお金を増やすことが期待できる商品であれば、どんな名前の証券口座を使うにしても、その商品を買えばいいという簡単な理屈です。幸い、そうした商品がつみたて投資枠のなかにありますし、その商品は成長投資枠でも買うことができます。「成長投資枠」という名前に心を動かされて、なにか違うものに投資しなければならないと思うのは大きな誤解ですから、注意してくださいね。
2つの投資枠とも、インデックスファンドでいい
生徒:では、具体的にどのような商品に投資すればよいのでしょうか?
先生:新しいNISAで投資するのは「つみたて投資枠」「成長投資枠」ともに、インデックスファンドでいいのです。別々の商品を買わずに、同じ商品を買っておけばいいでしょう。そのほうが管理しやすいはずです。たとえば、全世界の株式を対象とするインデックスファンドを買えばいいですね。
生徒:先日、銀行の窓口に行き、「インデックスファンドを買いたい」とお願いしたら、担当の方から「ほかに優れた商品があるので、止めたほうがいいですよ」とアドバイスされましたが…。
先生:金融機関の営業担当は、インデックスファンドが大嫌いです。手間がかかるわりに、手数料が安くて儲からないからです。窓口の対面販売では、インデックスファンドを「例外的なもの」だとイメージさせるような説明を行うこともあるようです。
生徒:どういうことでしょうか…!?
先生:たとえば、インデックスファンドは「初心者向け」「退屈」「右上がりの相場でしか有効でない」「金融理論が成り立つ世界でのみ有効」等と決めつけようとします。さらに、企業経営者などの富裕層に対し「インデックス運用が増えると、株式市場の価格発見機能が損なわれる」「アクティブ運用こそ日本経済に必要だ」等と主張するのです。優秀な銀行員たちがロジカルな説明を展開しますが、いずれも正しくないので、信用してはいけません。
生徒:私は、インデックス運用より、アクティブ運用のほうが優れている気がします…。
先生:そのように感じるのは、インデックスとなる株価指数が、アクティブ運用されている人たちの成績の平均値になっているからです。株価指数を上回るアクティブファンドが優秀で、株価指数を下回るアクティブファンドがダメだというわけではないのです。
生徒:と、おっしゃいますと…?
先生:どのアクティブ運用でも、優秀な人たちが競い合い、インデックスに勝とうとしているのです。その結果として「株価指数に勝つ人が50%、負ける人が50%」という結果になる、それだけの話なのです。結局、アクティブファンドの成績の平均値が、インデックスファンドの成績になるのです。
生徒:どれだけがんばっても、投資家の50%は必ずインデックスファンドに負けている、という実態が忘れられているようですね。
先生:ただ、株式の売買には手数料がかかります。アクティブファンドは、長期間に数多く売買するほど、確実に負けることになります。いうまでもなく、インデックスファンドに投資することが有利で、アクティブファンドはダメなのです。それは新しいNISAでも同じです。これが公認会計士の私が断言する明確な結論です。金融機関やIFAの営業マンやファイナンシャルプランナーに相談する必要性はいっさいありません。
生徒:わかりました。ありがとうございます。新NISAのつみたて投資枠でも、成長投資枠でも、全世界株式のインデックスファンドに投資することにします。それがシンプルで、快適ですね。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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「新NISA投資家必見!」つみたて投資枠、成長投資枠で買うべき最適な商品を解説!
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