前回は、新築住宅で耐震性を実現するための「3種類の構造」について説明しました。今回は、地震に強い屋根素材「ガルバニウム鋼板」の特長を見ていきます。

「瓦」は家が揺れやすくなる!?

ポイント⑤瓦の屋根は地震に弱く、ガルバニウム鋼板が強い

 

建物が揺れに弱いかどうかは、屋根を見ることでもわかります。ポイントは、屋根の重さです。素材によって屋根の重さはさまざまに変わりますが、重ければ重いほど家は大きく揺れます。

 

年配の方の中には、「瓦屋根がいちばんいい」という人が多くいらっしゃいますが、瓦屋根は非常に重く、他の一般的なスレート葺き、ガルバニウム鋼板と比較すると、最も重心が高い建物となり、家が揺れやすくなる屋根材といえます。実際、東日本大震災で倒壊した家は圧倒的に瓦屋根の家が多かったのです。屋根が重くなり、揺れると屋根によって家が潰されてしまうためです。

瓦の約10分の1…非常に軽いガルバニウム鋼板

逆に最も揺れにくい素材はガルバニウム鋼板です。アルミニウムと亜鉛をメインに生成されているため、非常に軽いという特長があります。その次がスレート葺きで、粘板岩を薄くしたものや、セメントと繊維などで作られます。

 

参考に、おおよその重さを比較してみましょう。

 

◦日本瓦……1坪当たり165キログラム

 

◦スレート……1坪当たり68キログラム

 

◦ガルバニウム鋼板……1坪当たり17キログラム

 

いかに瓦が重いかがわかったと思います。ガルバニウム鋼板のおよそ10倍です。特に3階建てになると、建物が揺れやすいので、瓦の屋根のほうが崩れてしまう危険性も高くなります。

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

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