上司の「若いんだから大丈夫だよ!」はマズイひと言…若手の「疲れた」「厳しい」は“すでに崖っぷち”のサイン

上司の「若いんだから大丈夫だよ!」はマズイひと言…若手の「疲れた」「厳しい」は“すでに崖っぷち”のサイン
(※写真はイメージです/PIXTA)

若手社員が口にする「疲れた」「厳しい」という言葉は、決してオーバーなものではありません。若手からしんどそうな“ひと言”が聞こえたとき、「若手を伸ばす上司」はどのような対応をするのでしょうか? 若手社員育成専門コンサルタント・伊藤誠一郎氏の著書『部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです』(日本実業出版社)より一部抜粋し、紹介します。

若手社員の「疲れた」「厳しい」を軽く受けとめてはいけない

基本的な仕事ができるようになり、その調子で頑張ってほしいと思っているときにかぎって、意外な言葉をつぶやくのが若手社員というものです。

 

若手から「疲れた…」「厳しい…」という言葉をよく聞くようになったら要注意です。「何を言ってるんだ!」「若いんだから大丈夫だよ!」。こんな言葉で安易に一蹴しないようにしてください。

 

最近の若手社員は、閉塞感の漂う鬱々とした世の中において、常に失敗できないというプレッシャーを抱えながら生きています。したがって、彼らがいくら若いからといって「疲れた…」「厳しい…」という声は、決してオーバーなものではありません。

 

また、若手をそのまま放置してしまうと、心身に支障を来たす事態を招く可能性があることを上司や先輩は頭の隅に置いておく必要があります。

 

「何も聞いてくれなかった…」「何もしてくれなかった……」という上司や先輩への不満を残してしまうと、いずれは組織への失望につながることすらあります。

まず気持ちを受けとめて、どうすればいいかを一緒に考える

上司や先輩は言語化力と説明力を発揮する場として若手に丁寧な対応を心がけるようにしてください。

 

まずは、若手に「何も聞いてくれなかった」と言われないための対応です。「何をして疲れたのか?」「どれぐらい疲れているのか?」「何をどのように厳しいと感じるのか?」といった点について、話を聞く時間と場を設けるようにします。

 

その際、原因を突き止めて解決しようという意識が強すぎると、「なぜ?」「どうして?」と問い詰める口調になってしまいます。彼らに逆にプレッシャーを与えることのないように、あくまで現状を聞くだけにしてください(⇒関連記事:『「説明がうまい営業とヘタな営業、どっちが喜ばれると思う?」←こういう〈わかりきったこと〉を質問する上司』参照)

 

そして、しんどい若手の代わりに上司や先輩が無条件に仕事を引き受けることがないようにもしてください。ごちゃごちゃ言われるぐらいなら自分がやったほうが早いとの理由から、上司や先輩が先走って動いてしまうという話をよく聞きます。しかし、それでは目の前の仕事の状況は変わっても、若手社員の状況は何も解決されません。

 

若手社員が抱えている現状の問題を解決すべく、しっかりアドバイスをするのが上司や先輩の役割です。

多くの場合は〈段取りのアドバイス〉が解決策になる

若手社員が「疲れた…」「厳しい…」と言うときは、仕事が効率的に進められない、仕事を効率的にするための方法がわからない、この2点が組み合わさっていることが多いです。

 

若手は目の前に複数の仕事があった場合、先読みして手順を組み立てることにまだ慣れていません。そのため上司や先輩から指示された順、あるいは単純に気になった順に取りかかってしまいがちです。その結果、時間を効率的に使えずに焦りや疲れにつながります。

 

もちろん、これらは経験不足のうちは仕方のないことです。そこで、仕事を性質上から3つに分類して手順を組み立てるアドバイスをします。

 

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①簡単に素早く終わる仕事

業務の報告や連絡、メール確認と返信、日々のルーチンワークなど

 

②自分だけの裁量でできず、進めるにあたって時間がかかる仕事

取引先や他部署に問いかけて返事を待つ事柄、上長の承認が必要な案件など

 

③集中して手を動かす仕事

まとまったシステム入力、PCを使っての資料作成など

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若手に、目の前の仕事をこの3つに分類して、優先順位を決めて取りかかるように伝えてみてください。そうすれば、時間を効率的に使うことができ、仕事が前に進めやすくなるはずです。もちろん若手から話を聞いた結果、原因がほかの事柄である場合には、それに合った解決策をアドバイスしてください。

 

いずれにしても若手に詳しく話を聞くこと、おだやかにアドバイスをすることによって状況はかなり改善されるはずです。

 

発端は若手社員の「疲れた…」「厳しい…」というちょっとしたひと言ですが、上司や先輩が言語化力とわかりやすい説明力の意識を持っていれば、適切なコミュニケーションがとれるようになります。それでも改善が見られないようであれば、上司や先輩が若手の仕事量を調整するか、代わりに預かるようにしてください。

 

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<ポイント>

「若いんだから大丈夫だよ!」と一蹴せず、話を聞いて適切なアドバイスをする

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伊藤 誠一郎

若手社員育成専門コンサルタント

若手社員育成研究所代表

 

1971年東京都出身。学習院大学法学部法学科卒業後、15年間にわたり医療情報システム、医療コンサルティング分野において提案営業、プロジェクトマネジメントの業務に従事した後、2009年に独立し、プレゼンテーション、提案力向上をテーマに講師活動を開始。その後、ロジカルシンキング、職場コミュニケーション、組織マネジメントなどテーマを広げ、新入社員から中堅社員、管理職まで延べ300社、2万人以上に研修、講演、セミナーを実施。

現在は、多くの若者と接する氷河期世代という二刀流講師としてZ世代と言われる若手社員育成と彼らを育てる上司、先輩のための企業研修、講演を行っている。

 

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※本連載は、伊藤誠一郎氏の著書『部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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