全員がほぼ定時退社…筆者の疑問が確信に変わった
X社の張り込みを開始すると、すぐに疑問が解消した。X社の本社は無機質な2階建てで、まるで工場のようだった。中央入口の自動ドア越しにタイムカードが見え、均等な大きさの部屋が左右対称に配置されている。
部屋の中は曇りガラスで見えないが、それぞれの部屋に2~3人の人影が動き、なにかの作業をしているようだ。また、X社前の駐車場には30台ほどの車やバイクが停めてある。
張り込みを開始して1時間が過ぎようとしたころ、終業チャイムが鳴った。腕時計を見ると時刻は午後6時を指している。ほどなくして、X社からたくさんの従業員が一斉に出てきた。
各々タイムカードを押し、玄関を出ると車やバイクで家路を急ぐ。そして、6時30分には全員が退社し、明かりがひとつ残らず消えた。
「これはやはり、見るからになにかの工場だ。ここで働いている人たちは従業員で、それぞれが独立した歯科技工士であるはずがない」。
調査終了までに2年…突然のメールで知らされた「結末」
冒頭の無予告調査は、歯科技工士8名(個人)とX社の合同調査を提案して6ヵ月が経った頃のことだった。確定申告直前の調査がX社と税理士に強烈なプレッシャーを与えたことは想像に難くない。
従業員は個人事業主としての体裁を整えるため、X社に納品書や請求書を出しているものの、歯科技工士全員が同じ書式を使っていた。これはX社側が作成したのだろうと思われる。また、歯科技工士がX社に充てた請求書には、タイムカードから算出した残業手当の記述があった。
調査結果は2年後、突然のメールで知らされた。「上田さんが残した歯科技工士の事案が優良事績で紹介されました。2年かかりましたが、やっと結果が出たようです。調査選定の全面勝利です」
メールには追徴税額などの記載はない。筆者がすでに退職していたため、情報漏洩にあたる可能性があって記載できなかったのだろう。
※最後に、筆者も小規模個人事業主としてインボイスに頭を悩ませているひとりだが、本記事は免税事業者を悪用する脱税スキームのケーススタディとして紹介することが目的だ。個別事案の暴露や、脱税方法の紹介を意図したものではないことを申し添えておきたい。
上田 二郎
元国税査察官/税理士
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