相続放棄のせいで、疎遠だった父の弟が「共同相続人」に
それからしばらくして、洋子さんから突然電話がありました。相当焦っている様子で、寛子さんは内容がつかめません。金曜日だったこともあり、寛子さんは仕事帰りにそのまま新幹線に乗り、実家で直接母の話を聞くことにしました。
玄関を開けると、洋子さんは、寛子さんの顔を見たことで安心した様子。洋子さんはとつとつと話し始めました。
「自宅はいらないが、500万円はよこせ」
貴さんには、実の弟がいます。「達次さん」といい、寛子さんは子どものころに数回会ったことがあるだけで、ほぼ面識はありません。
貴さんはその昔、両親の介護を弟が手伝ってくれず、すべて貴さんが引き受けたことや、両親が残した借金も貴さん1人ですべて返済したことなどから、達次さんとは不仲に。ほぼ連絡をとらず、疎遠となっていました。
しかし、このたび寛子さんが「相続放棄」をしたことによって、貴さんの妻である洋子さんに加え、貴さんの弟である達次さんも「共同相続人」になってしまったのです。
相続財産は、すべての相続人と話し合わなければ手をつけることができないため、洋子さんはそれを知り、貴さんに相続の権利が発生したことを連絡しました。
“あちらはあちらで生計を立てて暮らしているのだし、私がすべて相続するといっても納得してくれるだろう”と考えていた洋子さんですが、「自宅はいらないが、相続権利分の現金は分けろ」という予想外の答えが返ってきました。
相続は、「包括承継」といって、被相続人(亡くなった人)の財産に対する一切の権利義務を承継します。したがって、達次さんはそれを受け取る正当な権利を有するのです。
「お葬式にすら顔を出さなかったお父さんの弟に、父の財産を渡さないといけないなんて……」
寛子さんは、ショックのあまりしばらく言葉を失ってしまいました。
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