相続トラブルは「お金持ちに限った話」なのか?
国税庁『令和3年分 相続税の申告事績の概要』によると、相続や遺贈などにより財産を取得した方について、相続税の申告状況の概要は次のとおりです。
■相続税の課税対象となったのは
令和3年中に亡くなった方は1,439,856人(令和2年 1,372,755人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は134,275人(令和2年 120,372人)で、課税割合は全体の9.3%(令和2年 8.8%)となった。
■課税価格は
課税価格の合計は18兆5,774億円(令和2年 16兆3,937億円)で、被相続人1人あたりでは1億3,835万円(令和2年 1億3,619万円)となった。
■税金額は
税額の合計は2兆4,421億円(令和2年 2兆915億円)で、被相続人1人あたりでは1,819万円(令和2年 1,737万円)となった。
■相続財産の内訳は
相続財産の金額の構成比は、「現金・預貯金等」34.0%、「土地」33.2%、「有価証券」16.4%となった。
課税金額だけを見ると、なんとも「お金持ち」にしか関係のない話のように思えますが、それは相続税に限った話です。被相続人の遺産をめぐるトラブルは、どこの家庭でも起きています。
事前の対策はバッチリだと思っていても、いざ相続が発生すると揉めに揉めてしまうケースが後を絶ちません。特に「事実婚」の家庭の相続では、内縁のパートナーへの遺産をめぐり、骨肉の争いになってしまう高い危険性があります。
下記の例はその典型例といえましょう。持ち家で暮らしていた内縁の夫婦でしたが、夫の死去で悲劇が……。
“内縁関係の夫婦を長く続けてきて内夫が、病気により死去しました。
内縁関係の場合、内妻は相続人になることができないため、相続人は内夫の母親一人です。夫婦は、内夫名義の持ち家に住んでいましたが、内夫の死亡によって団体信用生命保険から保険金が下り、住宅ローンは消滅しました。
そんな折、相続人である内夫の母親から内妻に対して、「あなたにはこの家の相続権はないのだから、明け渡すように」との要求があり、内妻は激しく動揺しました。” 『老後の財産は 「任意後見」で守りなさい』より