(※写真はイメージです/PIXTA)

超高齢社会の日本では、人生の終盤を老人ホームで過ごす人が増えています。そこで問題になるのが「費用」です。今回、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、費用に焦点をあてた施設選びの注意点を、具体的な事例を交えて解説します。

施設選びで重要な「介護」と「医療」と「設備」

■介護について

入居時には介護が必要なくとも、加齢とともに体力が衰えていくと介護が必要となります。介護サービスを利用し始めた場合、当然ですが介護費用の負担も増えます。資金計画は介護費用を含めて余裕のある計画を立てることが大切です。

 

また、“終の棲家”として「看取り」に対応しているのかも入居前に確認しておきましょう。

 

介護が必要な状況で費用の増加が気になる場合は、「特定施設」に該当する高齢者ホームを選択すると安心です。

 

「特定施設」では介護保険サービスの支給限度額を利用するため、毎月の介護サービスの自己負担が定額となり、月々の費用を把握しやすくなります。

 

ただし、自立している方が「特定施設」に入居すると費用負担が余分にかかる場合があるため注意してください。

 

■医療について

医療機関との連携もポイントの一つです。

 

近隣の病院の有無や、体調を崩した際に医師や看護師がすぐに対応してくれる環境かどうかは重要なポイントです。

 

■設備について

Aさんの母親は、入居時には居室のキッチンを利用して自炊をしていました。しかし、途中からは施設で提供される食事を利用するようになりました。

 

施設の設備や間取りによって、住居費(家賃)は変動します。必要以上の広さや不要な設備があると、その分住居費の負担が増えてしまうため、居室の専有面積が狭く、水回り等の設備も最小限であれば住居費を抑えることができます。

 

なお、同じ施設内で部屋を移る場合、利用していた居室のクリーニング費用や、新しく利用する居室の入居一時金などがかかる場合もあります。


 

特別養護老人ホームへの入居待ちや緊急時の一時的な利用であれば仕方ありませんが、終の棲家として長期での利用を検討する場合は、しっかりと検討してから入居するようにしましょう。

 

「なにかあってから」では失敗リスクが大きい

母親思いのAさんは、良かれと思って自宅近くの施設へ引っ越しを提案しました。母親からすると嬉しい申し出だったことでしょう。しかし、理解不足から資金面で苦しい判断をすることとなってしまいました。

 

高齢者向けの住まいには多くの選択肢があります。たとえば「サ高住」と一口にいっても、施設ごとに特色があり、月々の費用負担も千差万別です。

 

施設選びは慌てずに余裕をもって、自分に合った住まいを探しましょう。そのためにも、早めの準備が大切です。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役

 

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