経営者を引退し、お金と時間にゆとりのある老後のはずが…
多田昭二さん(仮名/69歳)は小さな自動車修理工場の元経営者です。30代で独立し、会社員時代から築いた人脈と誠実な人柄で事業は開業当初より順風満帆、50代のころには社員も立派に育ち、経済的な自由と時間的な自由を手にしていました。
60歳でリタイアし、右腕として活躍してくれていた社員に5,000万円で会社を売却、そして3,000万円の退職金を手にしました。
妻とともにゆとりある老後を送る予定でしたが、そんな多田さんの予定は大きく崩れ去ってしまったのでした。
DV息子のために夜逃げ同然で家を追われるはめに…
若くして大きな利益を得ていた多田さんには、一人息子の裕二さん(仮名/42歳)がいます。
仕事が忙しくあまり一緒にいる時間がなかった多田さんは、たまの休みのときには欲しいものを買い与えて愛情を注いできたつもりでした。また、大人になってからも裕二さんは定職に就くことがなく、多田さんの会社で働いた時期もありましたが長続きはしませんでした。
裕二さんがやりたいと言って始めたショットバーも多田さんがお金を出し開業しましたが、計画性がなく、集客も上手くいかず、お金の管理もできずに資金がなくなり、多田さんの支援にも関わらず、3年ももたずに廃業して無職に戻ってしまったのでした。
また、裕二さんには妻と子供がいましたが、なにか不満があればすぐに怒りを爆発させ、妻や子供に対して暴力を振るうことがあったので、妻は耐え兼ねて離婚を申し出て、子を連れ、出て行ってしまいました。
自身の妻子を失った裕二さんは、多田さんや多田さんの妻の涼子さん(仮名)に対しても毎日暴力を振るうようになり、時には警察を呼ぶ事態となることもありました。
そして、裕二さんの暴力に怯えた多田さん夫婦は家を手離し、裕二さんに居場所を知られない土地に引っ越すことを決意します。
裕二さんに引っ越しを悟られないよう、荷物を最低限にして、裕二さんが友人とお酒を飲みに出掛けたある日、夜逃げ同然でいなくなったのでした。
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