俳句を作りながら、死ぬまで放浪を続けた
山頭火は43歳のときに放浪の旅に出かけてから、死ぬまで放浪し続けた。といってもまったく帰ってこなかったわけではない。3年間放浪したのち、まず1度、熊本に戻ってきている。
山頭火は離婚したサキノのもとに身を寄せた。息子はすでに学校に通いはじめている。稼ぎのない山頭火は、留守番をするが、どうにも居心地がよくない(そりゃそうだ)。
相変わらず酒を飲んでばかりで、お金もない。「このままではいけない」と山頭火はまず知人に借金を頼み、金を送ってもらう。お礼の手紙にはこう書いている。
「おかげで当面の難関を打開することが出来ます。私も一切の過去を清算して新生活の第一歩を踏み出さなければならないのであります」
家族の存在を嫌った山頭火が家族のために立ち直ろうとしている。友人もお金を貸した甲斐があったというものだが、それからぷっつりと手紙がこない。ようやく来た山頭火からの手紙にはこうあった。
「私はとうとうまた旅に出ました。まことに懸命の旅であります。私はやっぱり乞食坊主以外のものにはなりきれません」
どうしても働くことはできなかったようだ。いかんいかん、と思いながらも結局、酒を飲んでいただけの日々だった。
酒同様に愛していた「俳句」
再び旅に出た山頭火だったが、1年後にまた熊本に舞い戻る。だが、前回の反省を生かして、今度はもう働こうなんてバカなことは考えなかった。
山頭火には、酒と同様に愛し続けていたことがあった。それは俳句だ。山頭火はこのときに俳句雑誌『三八九』を発行。そしてまた1年したら旅に出るのだった。友人にはこんな手紙を書いている。
「私はまた草履をはかなければならなくなりました。旅から旅へ旅し続ける外ない私でありました」
旅を続けたダメ人間・山頭火は、57歳のときに松山市に移住して「一草庵[いっそうあん]」を結び、翌年そこで生涯を閉じている。本人が以前から希望していた「ぽっくり往生」だった。
真山 知幸
著述家、偉人研究家
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