②勉強のやり方が分からずやりがいがない
失敗の第2の要因は「間違った勉強法」です。
多くの受験生は、塾や予備校に通ったり、独学で教科書や参考書、問題集に取り組んだりしています。特に難関私立大学や国公立大学合格を目指す人は、なんとしても成績を上げて合格判定を勝ち取ろうと人一倍努力しているはずです。
しかし、どれだけ一生懸命勉強しても思うように成績が伸びない、偏差値が上がらないと悩んでいる生徒は少なくありません。
毎日ちゃんと勉強をしているのに成績が伸びない理由は何か。それは勉強の仕方を間違えているからです。受験勉強には時間も場所も必要ですが、なによりも正しいやり方で取り組まなければ、能力を引き出せないまま結局失敗の道をたどることになります。
例えば、教科書や参考書をしっかり読み込んでいるという人がいます。それで理解できればいいのですが、目で追うだけでは勉強したことになるはずがありません。そのときはなんとなく分かった気になってもすぐに忘れてしまい、いざ問題を解く段になると歯が立たなくなります。
また、分からない問題があったとき、解答解説を見て、そのときはなるほどと思っても、あとで同じ問題に出合ってもやっぱり解けないということが頻繁に起こります。見覚えのある問題だな、とは思っても、解き方までは思い出せないのです。
塾や予備校の授業も同様です。人気講師の解説を聞いて、なんとなく理解した気になっても、そこで解説された問題と似た問題が出たとき、自分一人で解けなければなんの意味もないのです。
どんなに一流の講義を聞いたところで、それだけで身につくものなどほとんどありません。自分がその内容を正しく理解しているかを確認し、一人でも解けるようになって初めて、授業の内容が身についたといえるのです。
こうした見当違いの勉強をしている人の多くは、なんのために勉強するのかという目的からすでに間違えてしまっています。ただ出された宿題を終えるため、勉強しろとうるさい親を黙らせるため、その日の勉強時間のノルマをクリアするためなど、勉強することそのものが目的になってしまっているのです。
自分のなかに潜在する能力、ポテンシャルを引き出すこと、掘り起こすことが勉強の本来の目的です。ただ表面をなぞるだけの作業で時間をつぶしているだけではまったく無意味です。当然成績アップは望めませんし、志望校との距離は1ミリも縮まりません。たとえ2時間勉強したとしても、その行為自体にはまったく意味がなく、2時間勉強しただけの成長があって初めて「勉強した」といえるのです。
こうした傾向は、もともと受験に対する目的意識が希薄な生徒に多く見られます。この大学に行きたい、そのために成績を上げなければならない、という思いよりも、やらされ感のほうが勝っており、自分の受験のはずなのにどこか他人事のような感覚をもっているのです。
勉強の正しいやり方を知るには、塾や予備校などの「受験のプロ」から一定の指導を受けるのが近道なのは確かです。何もかも独学でやろうとすると、高校受験などの経験だけから手探りで行うことになるので、その時間がもったいないうえに、最終的に的外れなことをしているということになりかねません。
③~⑦の項目については、次回以降で解説します。
菅澤 孝平
シンゲキ株式会社 代表取締役社長