受験に失敗する7つの要因
①やらなければいけないと分かっていても気が向かない
②勉強のやり方が分からずやりがいがない
③塾や予備校に通っているのに成績が伸びない
④”自己流”はただの遠回り
⑤受験勉強「以外」の時間はダラダラしている
⑥高校受験と大学受験を同じように考えている
⑦成績が伸びないのは地頭が悪いからではない
「受験に失敗する7つの要因」について、今回は、⑥、⑦について解説します。
(受験に失敗する7つの要因の①②については、記事『受験生の半分以上が「受験に失敗している」という現実…根本原因はどこにあるのか?【志望校合格率83%の塾講師が解説】』、③④⑤については記事『【大学受験】せっかく塾や予備校に通っても…「こなすだけ」の勉強では効果がないといえるワケ〈志望校合格率83%の塾講師が直伝〉』を参照ください)
⑥高校受験と大学受験を同じように考えている
第6の要因は「偏差値の落とし穴」です。
実力を知るための材料として偏差値を参考にする人は数多くいます。高校受験で難関校に合格した高校生のなかには、大学受験も同じだと考えたり、このまま難関大学に行けると甘く見たりしている人も少なくありません。
しかし偏差値65の高校に合格できたから偏差値65の大学にも簡単に合格できると思っているなら、それは大きな間違いです。
高校受験と大学受験では参加する層がまったく違います。中学3年生は100%とはいいませんがほとんどが高校受験をします。一方、高校3年生で大学受験をするのはほぼ半数で、就職や専門学校などへの進学など、四年制大学を目指さない人も同じぐらい存在します。決してすべての人がそうではありませんが、一般的に成績の良い人は大学を目指し、そうでない人はそれ以外の進路を選ぶ傾向が見られます。
要するに高校受験と大学受験では、母集団のレベルがまったく異なるので、高校の偏差値を大学の偏差値にそのまま当てはめることはできないのです。
高校で一般的な勉強を続けている限りは、合格できる大学のレベルは合格した高校の偏差値の10ぐらい下だと考えてください。つまり、偏差値65の高校に合格した人で、その後大きく成績を伸ばすことができなければ、合格できる大学の偏差値レベルは55ということになります。
自分が通う高校の進学実績を確認してみれば一目瞭然です。面白いほどに高校の偏差値より10下の大学に進学する卒業生が大半であることが分かるはずです。
また高校受験の場合、学校の定期テストの対策ができていれば受験勉強はそれほど大変ではありませんし、丸暗記でもある程度対応できました。しかし大学受験では、勉強のボリュームが圧倒的に増えているうえ、論理的に考える力や応用する力が求められます。
そもそも志望校は偏差値ありきで選ぶものではありません。自分が目指す将来の目標に向けてそれに合った大学を志望し、そこを目指して成績を伸ばしていくというのが本来のあり方です。その際の一つの指標として偏差値は参考になりますが、それも全国的な模試の結果で出てくる偏差値でなければ無意味です。自分が今在学している高校の偏差値に照らして大学選びをすると、間違いなく失敗します。
⑦成績が伸びないのは地頭が悪いからではない
そして第7の要因、それが「責任転嫁」です。これは努力不足を能力不足にすり替えて自分自身を納得させようという滑稽で姑息な手段です。
正しい勉強のやり方以前に、そもそも成績上位の優等生はもって生まれたものが違う、と思っている人もいるかと思います。
もともと頭がいい人はいつも成績が良くて、そうではない自分は勉強してもなかなか成績が上がらない、と嘆く受験生の声も数多く聞かれます。実際、私が経営する塾に入塾してくる生徒にも、自分は地頭が悪いから、とこぼす人がいます。しかし地頭=もともともっている能力、つまりその人のポテンシャルという点だけで大学の合否を決定づけるほどの差があるはずがありません。
はっきり言って地頭が悪いというのは、自分の成績の悪さを正当化するための単なる言い訳に過ぎません。勉強をするのが面倒だから、勉強しても仕方がないということにして逃げているだけです。厳しい言い方に聞こえると思いますが、大学受験専門の進学塾を経営してきた経験から、私は確信をもってそう断言できます。地頭が悪いから勉強しても意味がないという人間はいません。単に正しい勉強方法で量をこなしていないだけなのです。
成績の良い人は、正しい勉強方法でかなりの量の勉強をしています。勉強なんて全然していない、という顔をしているのに成績がいい人もいますが、そういう人ほど隠れて頑張っているか、あるいは勉強するのが当たり前の日常になっているものです。
実際に、入塾時には自分の頭の悪さを嘆いていた生徒でも、成績を上げられるだけの勉強量をこなすと、テストの点も少しずつ上がり、偏差値も伸びていきます。それまでは理解できなかったことが分かるようになり、取れなかった点が取れるようになり、そのとき初めて、成績が悪かったのは自分の頭が悪いのではなかったのだと気づくのです。
受験産業の業界では、有名大学に合格するために必要な勉強時間はいわゆるMARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)や関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)レベルで3000時間、早慶や国公立などで4000時間といわれています。この数字にどういう根拠があるのかは分かりませんが、私も数多くの受験生を見てきた経験から、あながち間違ってはいないと感じています。
成績は、正しい勉強で重ねてきた学習時間にほぼ比例します。もともと成績が悪い人は、小学校や中学校の勉強が足りていないだけで、地頭が悪いわけではありません。
地頭に関係なく、正しい方法で必要な勉強量をこなせば誰でも成績は伸びますし、その努力は決して裏切りません。正しい努力によって引き出された能力は、再び引っ込むことはないのです。これから受験に向き合おうとする人は、まずはこの当たり前の事実を理解し、受け入れる必要があります。