(※写真はイメージです/PIXTA)

元国税専門官の『元国税専門官がこっそり教えるあなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)著者の小林義崇氏は、国税専門官時代、相続税調査のために、元キャリア官僚の妻の自宅に訪問することに。しかしその際、いつもは穏やかで礼儀正しい女性を激怒させてしまいます。いったい、なにが彼女の怒りを買ってしまったのでしょうか。みていきます。

なぜ、「成功者」はみな礼儀正しいのか?

誰に対しても礼儀正しく接することの大切さは、私がライターになってからも強く感じました。これまで取材をしてきた方は、ある意味成功者ばかりなのですが、礼儀正しい方ばかりなのです。

 

私がライターとして独立した頃、ある雑誌の編集者から定期的に仕事をもらっていました。その方に、どんなライターを求めているのかを聞いたことがあるのですが、「ライティングのスキルよりも、取材先に同行して恥ずかしくない人がいい」と予想外のことをいわれて驚いたことがあります。

 

成功の条件というと、スキルや知識などに目が向きがちですが、実は人としての基本的な態度が大切だということを思い知らされました。

キャリア官僚の妻のプライド

私は経験上、富裕層は穏やかな人が多いという印象をもっていますが、1度だけ税務調査のときに怒鳴りつけられたことがあります。その案件は、元キャリア官僚の男性が亡くなり、その相続人である妻を調査するというものでした。

 

キャリア官僚といえども一般の会社員程度の収入レベルでは、相続税調査を受けることはあまりありません。しかし、その調査対象者は数度にわたる「天下り」で多額の退職金を受けとった直後に亡くなり、億単位の遺産額になったことから、相続税がかかってしまったのです。

 

自宅で税務調査をしたのですが、奥様に丁寧に対応してもらいスムーズに進みました。しかし、ひととおり調査が終わった後、お借りしていた書類などを返却しにうかがったところ、奥様の態度が豹変したのです。

 

「私は、あなたたちにあれこれいわれるような立場じゃないのよ!」玄関先でいきなり怒鳴りつけられた私はショックを受け、あいさつもそこそこにその場を離れました。

 

今にして考えてみれば、キャリア官僚の妻として長年夫を支えていただけに、私たちのようなノンキャリアの国税職員から調査を受けたことが、かなりの屈辱だったのかもしれません。

 

プライベートなことまで根掘り葉掘り聞かれ、追徴税まで課せられたわけですが、いかにキャリア官僚として国に貢献していようが、あるいはしてなかろうが、税務調査に手心を加えるわけにはいかないのです。

 

 

小林 義崇

マネーライター

Y-MARK合同会社代表/一般社団法人かぶきライフサポート理事

 

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※本連載は、小林義崇氏による著書『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

小林 義崇

ダイヤモンド社

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