(※写真はイメージです/PIXTA)

“雨ニモマケズ、風ニモマケズ”……で有名な宮沢賢治。ストイックで献身的なイメージがあるものの、実は“ブレブレな一面”があったと、『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)の著者で偉人研究家の真山知幸氏はいいます。つい、自分に厳しくなってしまう現代人にこそ知ってほしい、文豪の“逃げエピソード”をみていきましょう。 

恋愛感情完全拒否!顔に泥を塗って、逃げた

しかし、自分から求めずとも、異性と自然に親しくなることもある。賢治は30歳で花巻農学校を退職。自宅で羅須地人協会を設立すると、ひとりの女性が頻繁に訪ねてくるようになった。彼女は、賢治が村で稲作作業を指導したときに知り合った、小学校の女性教員だった。

 

よほど賢治に惹かれるものがあったらしい。ひとりで暮らす賢治の家を訪れては、掃除や洗濯、買い物など身のまわりの世話をしはじめた。

 

最初こそ賢治も喜んで彼女を迎えていたが、相手が自分に恋愛感情があり、しかも結婚を望んでいるらしいとわかると、急に遠ざけたくなってきた。なにしろ、賢治にはまったくその気はない。すぐにでも逃げ出したかったが、自分の家にやってくるので、逃げようもない。彼女は1日に3回もやってくる日さえあったという。

 

そこで賢治は「不在」と書いた立て札を門のところに立てたばかりか、顔に炭を塗りたくって病気のふりをして、彼女からなんとか逃れようとしたという。すごい逃げ方である。

 

出所:真山知幸氏著『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)
恋愛感情完全拒否! 顔に泥を塗って、逃げた 出所:真山知幸氏著『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)

 

生涯独身を貫いた賢治。だが、それでも決心が揺らぐこともあり、たびたび恋愛しては結婚を考えることもあった。どんな相手が理想だったのか。親友にこう語ったこともある。

 

新鮮な野の食卓にだな、露のように降りてきて、挨拶をとりかわし、一椀の給仕をしてくれ、すっと消え去り、また翌朝やってくるといったような女性なら、僕は結婚してもいいな」……そんな都合のいい相手はいません。

 

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※本連載は、真山知幸氏の著書『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ

逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ

真山 知幸

実務教育出版

あの偉大な文豪も、逃げまくっていた!? 知れば知るほど勇気をもらえる文豪の逃げエピソード集! 誰もが知る文豪たちも、実は仕事や勉強、家族や借金取りから逃げた「逃げエピソード」を持っている。厳しすぎる学校から逃亡…

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