フィリピン・鉄道プロジェクト「中国からの資金調達」見送りへ…日韓印からのODA活用を検討

11月13日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン・鉄道プロジェクト「中国からの資金調達」見送りへ…日韓印からのODA活用を検討
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンの主要鉄道建設に向けて、日本、韓国、インドなどから資金調達を目指す動きと、インフラ投資を加速させるであろう政府系ファンドの最新の動きについて解説します。

主要鉄道計画…「中国」以外からの資金調達を検討

フィリピン政府は、中国からの資金提供を見送った後、日本、韓国、およびインドからのODAを活用し、3つの主要な鉄道プロジェクトを推進する可能性を検討しています。この動きは、フィリピンの運輸大臣が、進捗が不十分であるためとして、中国からのODA要請を取り下げたことに端を発しています。代替の資金源として、韓国、日本、インドからのODAのほか、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、JICAからの資金調達も検討されています。

 

フィリピンの財務大臣ディオクノ氏は、Mindanao鉄道プロジェクトの第1フェーズについて、2024年第1四半期までにファイナンスを確定できる可能性があると述べています。このプロジェクトについて、日本やADBからの公式開発援助を活用することが検討されており、すでに実現可能性の調査が完了しています。

 

Mindanao鉄道プロジェクトの第1フェーズは、総額830億フィリピンペソの予算で、1日に約12万2,000人の乗客を輸送し、タグムとディゴスの間の所要時間を3時間から1時間に短縮します。

 

Mindanao鉄道プロジェクトにソブリンウェルスファンド・マハリカ投資基金(Maharlika Investment Fund、MIF)を通じて資金を調達できる可能性について尋ねられた際、ディオクノ氏は、これは可能性の一つであると述べましたが、sovereign wealth fundによってすべての資金が提供されるわけではないと述べました。また、Subic-Clark鉄道(500億フィリピン)およびフィリピン国鉄(PNR)の南部長距離鉄道(1,420億フィリピンペソ)の中国への資金要請も回し、他の資金源を探る必要があると述べました。

 

これらの鉄道プロジェクトの資金調達における遅れにもかかわらず、バウティスタ運輸大臣は、2028年までにこれらの鉄道プロジェクトを完了する予定であると述べています。

政府系ファンド「マハリカ投資基金」年内稼働に向けて加速

フィリピン政府は、政府系ファンド(ソブリンウェルスファンド)「マハリカ投資基金」(MIF)の実施規則と運用規定(IRR)を改善するための一時停止からわずか1ヵ月でIRRを最終化しました。MIFは、国の発展のための資金を管理するために設立された新しい国営ファンドです。マルコス大統領は、IRRの最終化が完了したことを発表し、承認され次第、MIFの運用を迅速に開始する意向を表明しました。

 

一時停止の理由は、透明性と説明責任が備えられるように、IRRが慎重に検討される必要があるというマルコス大統領の意向がありました。一方で、経済学者たちは、IRRの一時停止は、マルコス大統領がマハリカ投資基金の最高経営責任者(CEO)の任命に影響を与えるためのものである可能性があると指摘。また、IRRには外国または国内の民間投資家が基金に投資する方法に関する指針が不足しているとの懸念を表明しています。

 

一時停止されたにもかかわらず、マルコス大統領は、MIFが年内に稼働する意向を繰り返し示しています。この基金は、国の基盤となるインフラプロジェクトの実施を加速するために使用され、その価値は約1,530億ドルに相当します。

 

MIFへの投資は、急成長するフィリピンを、ポートフォリオを多様化したい国内外の株式投資家から資金を集め、環境、社会、企業のガバナンス(ESG)に関連する投資機会を提供するとみられています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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