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世帯主の収入「37万3,420円」…豊かに生きられるか
少子高齢化が長らく問題視されている日本社会。出生数は右肩下がりに減少し、平成28年以降は100万人を下回って推移しています。厚労省の発表によると、2022年の出生数は過去最少の77万747人。2021年を4万875人下回り、初めて80万人台を割り込みました。
DINKs(Double Income No Kids…共働きで意図的に子どもを作らない夫婦のこと)という言葉も広く知られるようになった今、「夫婦2人で生きる」は当然の選択肢として存在しています。一方で、意図とは関係なく「お金がなくて子どもは考えられない…」と嘆く声も少なくありません。
今年11月7日発表の総務省『家計調査(二人以上の世帯)2023年(令和5年)9月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「48万7,499円」。前年同月比で名目2.4%減少しています。物価変動の影響を除いた実質では5.8%減少しています。
一方、消費支出の平均は「28万2,969円」。こちらは前年同月比で名目0.7%の増加となりました。物価変動の影響を除いた実質では2.8%減少しています。総務省によると、物価高の影響で習い事や食料などへの支出を抑える動きが出ているということです。
勤労者世帯の収入について詳しく見ていきましょう。「48万7,499円」のうち、世帯主の収入が「37万3,420円」、配偶者の収入が「8万1,995円」となっています(そのほか定期収入や他の世帯員収入についての項もありますが、ここでは割愛します)。
消費支出の内訳を見てみると、食費が「8万4,837円」ともっとも大きなウエイトを占めており、交通・通信費が「4万6,647円」、教育娯楽が「2万7,114円」、光熱・水道が「1万8,860円」と続きます。仕送り金や交際費といった「その他の消費支出」は「4万4,064円」で、11ヵ月連続減少しています。
48万円の収入に、28万円の支出。この数字だけで言えば、月20万円程度は自由に使えるお金があるわけですが、現実はそう簡単な話ではありません。
『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和4年)を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は458万円(男性563万円、女性314万円)です。1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、55~59歳の階層が最も高い給与を受け取る傾向にあります。
しかしこれはあくまで平均値。年収の分布を見ていくと、残酷な様相が明らかになります。