(※画像はイメージです/PIXTA)

物価高が深刻の度合いを増すなか、労働者の「賃上げ」が課題となっています。しかし、特に中小企業にとっては、賃上げしようにも、業績は一朝一夕に向上するものではありません。そこで、有益なのが、国の「補助金」の活用です。賃上げをした場合に最大250万円を受け取れる「小規模事業者持続化補助金」(第14回公募)が12月12日まで募集中です。本記事で解説します。

賃上げに「プラスアルファ」で受け取れる補助金

中小企業の賃上げに対して支払われる補助金は、「小規模事業者持続化補助金(第14回公募)」の「賃金引上げ枠」です。

 

前提として、「販路開拓」または「生産性向上」の取り組みを行うことが求められています。それに加えて「事業所内の最低賃金」を「地域別の最低賃金」より「+30円」以上引き上げた場合が対象となっています。

 

つまり、業績の向上に結び付く取り組みを行ったうえで、その裏付けをもって賃上げを行うことが要求されているということです。

 

対象となる「小規模事業者」は、過去3年分の「課税所得」の平均が15億円以内の「営利法人」(会社等)、「個人事業主」、収益事業を行う一部の「NPO法人」です。また、業種ごとに「常時使用する従業員数」について以下の要件が設けられています。

 

【小規模事業者の業種ごとの要件】

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員5人以下

・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員20人以下

・製造業その他:常時使用する従業員20人以下

 

受給できる金額は?

「賃金引上げ枠」には、補助してもらえる対象となる「補助率」と「補助上限額」が設けられています。以下の通りです。

 

【補助率・補助上限額】

・補助率:経費の3分の2(赤字事業者は4分の3)

・補助上限額:200万円(「インボイス特例」対象事業者は250万円)

 

赤字事業者でも受給でき、しかも補助率が高くなっています。

 

また、「インボイス特例」の対象事業者は、補助上限額が50万円上乗せされます。インボイス特例の対象となるのは、消費税の免税事業者が課税事業者(インボイス発行事業者)になる場合です。

補助してもらえる「経費」はどこまでか

補助してもらえる経費は、賃上げの前提としての「販路開拓」または「生産性向上」の取り組みに必要な以下の経費です。

 

【補助対象となる経費】

(1)機械装置費

(2)広報費

(3)ウェブサイト関連費

(4)展示会等出店費(オンラインを含む)

(5)旅費

(6)開発費

(7)資料購入費

(8)雑役務費(臨時に雇用したアルバイト・派遣社員の費用)

(9)借料(リース・レンタル料)

(10)設備処分費

(11)委託・外注費(店舗改装など、自力では困難な業務を第三者に依頼した費用)

 

以下、特に留意すべき点について解説します。

 

◆他に転用できるものは対象外

あくまでも、補助事業そのものを行うのにかかる経費に限られます。したがって、他の事業目的にも転用できる自動車やパソコン等は対象外です。

 

◆ウェブサイト関連費と設備処分費

また、「ウェブサイト関連費」「設備処分費」には制限が設けられています。

 

「ウェブサイト関連費」は単独で申請できません。「販路開拓」または「生産性向上」の取り組み自体ではなく、付随的な費用にすぎないからです。このことから、補助の上限は補助対象経費総額の4分の1まで、かつ50万円までと低くなっています。

 

「設備処分費」は、新たなサービスを行うのに必要なスペースを確保するために、既存の設備を処分するのにかかる費用です。これも「ウェブサイト関連費」と同様、付随的な費用にすぎないので、単独で申請することができません。上限も補助対象経費総額の2分の1までと低く設定されています。

 

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