退職金を元手に高配当株式への投資を始めたEさん
これまで株式投資に関心があるものの仕事や子育てで投資経験がなかったEさん(65歳)。2019年3月に退職し、時間に余裕ができたので同年6月ごろから退職金3,000万円を元手に、老齢年金にいくらかプラスされることを見込んで、株式投資を始めてみることにしました。株式といっても値上がり益(キャピタルゲイン)を目指すのは難しいと考え、配当(インカムゲイン)を目的とした高配当の日本株を中心に投資をしていきました。
Eさんは自分で選ぶことによって配当を出していない企業もあることや、配当利回りも企業によって異なることに気づきました。そして、配当利回りが4%と比較的高いと思う企業を中心に投資をしていきました。最初は100万円程度で始めましたが、少しずつ金額も増え1,000万円を投資し、年間で得られる配当金予想額は40万円程度となりました。
1,000万円分の株を追加購入した矢先、コロナ禍で市場が下落…
株式市場も堅調に推移し10月ごろには評価益も8%程度出ており、さらに配当金もあったら嬉しいと考え1,000万円分の配当株を追加購入しました。
ところが投資を始めて9ヵ月が経過した2020年2月。コロナ禍で株式相場状況が悪化し、Eさんの保有株式も10%程度下落したことで含み損が100万円を超えました。
なんとか損した分を取り返そうと500万円の追加投資を決めますが、さらに5%下落。再度500万円を投資し、累計投資金額は退職金と同じ3,000万円となりました。それでも翌月3月にはさらに10%下落。この時点で含み損は500万円を超えてしまいました。
投資した株式の平均配当利回りは4.5%。Eさんは「配当金を受け取り続けても投資金額まで取り戻すのに5年かかってしまう」、「これ以上値下がりしたらどうしよう」と、精神的に参ってしまいました。もう耐えられないと感じたEさんは1,500万円分の株式を損切りすることに。
相場変動とともに一喜一憂
すると4月から株式相場は急回復し6月には下落前の水準に戻りました。「元の値段に戻るなら持ち続けていればよかった」、こう思っても時間を巻き戻すことはできません。さらに業績悪化への懸念から配当を減配する企業も出てきました。
Eさんは、投資を始めるのは簡単でも、日々変化する相場状況のなかで継続することは難しいこと、配当金も必ず得られるものではないことを実感しました。
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