◆2023年のNISA口座開設は不要?
あなたがもし、この本を2023年の半ばくらいに手に取ったのであれば、「話題のNISAは2024年かららしいし、今年はいいかな」と考えるかもしれません。
しかし、それはもったいないチョイスです。
2023年のNISAは開設しておき、2024年以降の新NISAとは別に併用しておいたほうが非課税枠を最大化できます。
仮につみたてNISAに3年分、120万円の資金を積み立てた人がいて、このまま持ち続ければ最大で「新しいNISA1800万円+2023年までのNISA120万円」とその運用収益を非課税で投資することができるわけです。
これは2023年までにNISAをしていた人へのご褒美みたいなものなので、使わない手はありません。
「話題のNISAは2024年かららしいし、今年はいいかな」と考える必要はまったくありません。
2023年に使える枠はもう1年分しか残っていませんが、それも問題視する必要はありません。
つみたてNISAでも一般NISAでも、「むしろ小手調べとしてはちょうどいい枠」だと考えてみればいいと思います。売却したければいつでも売却できるわけですから、その点でも不利益はありません。
なお、開設最初の年は、つみたてNISAも「残りの月÷40万円」のような設定が可能なので(通常は月あたり3・3万円以上積立できない)、今からでも年40万円の枠を使い切ることができます。
例えば10月からの積立開始に間に合った場合は、月10万円×4カ月で年40万円の非課税投資を行うことが認められます(もちろん、月数万円の設定で無理なく利用してもOKです)。
◆「2023年までの旧NISAはなるべく満期保有する」がポイント
2022年以前からNISAで保有している資金がある場合は、できるだけ満期保有を目指していくといいでしょう。今あるNISAの5年ないし20年という非課税投資期限はもう回復することはありません。
5年を待たずに売却をしてしまうと、非課税投資のチャンスは終了し、その後どんなに上昇したとしても、その収益を非課税で得ることはできなくなります。
お金が必要になって、借金をしないためであれば、解約をためらう必要はありませんが、定期的に積立を行っているような人は、5年もしくは20年の満期が到来するまで非課税投資を続けていきたいものです。
また、新しいNISA制度のほうは1800万円の投資枠が何度でも復活しますので、どうしても少しお金が必要になった場合も、2024年以降の新しいNISA制度のほうで売却をしてしまう方法も考えられます。
今あるNISAの非課税期間を上手に活かしていきたいものです。
山崎 俊輔
フィナンシャル・ウィズダム代表
ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー