(※写真はイメージです/PIXTA)

「債券投資」は比較的リスクが低いといわれますが、価格変動のリスクはあります。特に「市場金利」と「債券価格」の関係を理解しておかないと、思わぬ損失をこうむることになりかねません。日銀で景気動向調査、金融業務、決済システムの開発に携わった経験をもつCFP・小松英二氏の著書『はじめての金利×物価×為替の教科書』(ビジネス教育出版社)から、一部抜粋して紹介します。

◆「表面利率」も債券価格に影響を与える

次に、表面利率と債券価格との関係を説明します。

 

ポイントをまとめると、表面利率が低いほど債券価格の変動は大きくなります。反対に、表面利率が高いほど債券価格の変動は小さくなります。

 

理解の鍵は、「表面利率」と「修正デュレーション」の関係にあります。前述のように、修正デュレーションを計算する際に用いる「残存期間」は、元本の回収までの残存期間だけでなく、毎回の利子受取りまでの残存期間も考慮します。

 

もしも他の条件が同じなら、表面利率が高い債券のほうが元本・利子を早めに回収できますので、修正デュレーションは小さくなります。反対に表面利率が低い債券のほうが元本・利子の回収が遅れますので、修正デュレーションは大きくなります。

 

【表面利率が高い債券】

・市場金利の上昇⇒債券価格が小幅に低下する

・市場金利の低下⇒債券価格が小幅に上昇する

 

【表面利率が低い債券】

・市場金利の上昇⇒債券価格が大幅に低下する

・市場金利の低下⇒債券価格が大幅に上昇する

 

表面利率のない債券(ゼロクーポン)である割引債は、市場金利の変化に対する債券価格の変動がとても大きいといった特性が浮き彫りとなります。

 

債券の価格変動に関する特性を指摘してきましたが、最後に、債券投資において、金利上昇局面と金利低下局面のそれぞれで、どのようなスタンスをとればいいのか整理しておきましょう。投資効率を高めたいのであれば、金利上昇が予想される時は「長期債売り・短期債買い」が、反対に金利低下が予想される時は「短期債売り・長期債買い」が基本となります([図表3])。

 

[図表3]金利の上昇局面・低下局面における債券投資のスタンス

 

 

小松 英二

CFP® FP事務所・ゴールデンエイジ総研

代表・経済アナリスト

 

本メディア並びに本メディアの記事は、投資を促すことや、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、株式会社幻冬舎ゴールドオンライン、幻冬舎グループは、本メディアの情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

はじめての金利×物価×為替の教科書

はじめての金利×物価×為替の教科書

小松 英二

ビジネス教育出版社

金融マーケットのニュースを見てもよくわからない!難しい金利・物価・為替の仕組みがゼロからわかる1冊

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録