「償還までの期間」が長いほど債券価格は大きく変動する
市場金利の変動による「債券価格の変動度合い」は、以下の要因により異なります。
・債券の「残存期間」(償還までの期間)
・債券の「表面利率」
以下、残存期間、表面利率の順に詳しく説明します。
◆「残存期間」が長ければ債券価格の変動幅が大きい
まず残存期間と債券価格の関係を説明します。
ポイントをまとめると、残存期間が長いほど、債券価格の変動(ボラティリティー)は大きくなります。なぜなら、5年、10年さらに20年と残存期間が長くなると、市場金利の変動のほかにも、景気、インフレ、災害、戦争などのリスクの発生も想定されるためです。
反対に、残存期間が短いほど、債券価格の変動は小さくなります。
詳しく解説しましょう。市場金利の変化に注目すると、残存期間が長い債券ほど市場金利が変化した時の債券価格の変動は大きくなります。逆に、残存期間が短い債券ほど市場金利が変化した時の債券価格の変動は小さくなります。
市場金利が変化した時の債券価格の変動度合いとして、「修正デュレーション」という専門用語が使われています。修正デュレーションは、「市場金利の変化に対する、その債券の価格変化率」と定義され、残存期間が長いほど大きい数値となります。
そして、修正デュレーションが大きい債券ほど、市場金利に対する債券価格の変動度合い(金利感応度)が高くなります([図表2])。
【修正デュレーションが大きい債券】
・市場金利の上昇⇒債券価格が大幅に低下する
・市場金利の低下⇒債券価格が大幅に上昇する
【修正デュレーションが小さい債券】
・市場金利の上昇⇒債券価格が小幅に低下する
・市場金利の低下⇒債券価格が小幅に上昇する
理論的には、たとえば債券の修正デュレーションが「5」とすると、1%の市場金利上昇に対して債券価格は5%低下する、修正デュレーションが「10」とすると、1%の市場金利上昇に対して債券価格は10%低下すると考えられます。
さらに細かくなりますが、修正デュレーションの算出に用いる「残存期間」は、元本の回収までの残存期間だけでなく毎回の「利子受取り」(投資家からみると「回収」に相当)までの残存期間も考慮します。
元本と利子は金額がまったく違い、投資家が回収する残存期間も元本と毎回の利子で違ってきます。修正デュレーションの算出においては、これらの違いを織り込んだ複雑な計算が行われます。
個人が投資できる債券型ファンド(債券型投資信託)は、修正デュレーションをリスク管理における重要な指標としています。債券型ファンドには、組み入れた多数の債券の「平均残存期間」により算出した修正デュレーションが示されています。
原則的に「平均年限が長いポートフォリオを持つ債券型ファンドはハイリスク・ハイリターン」であるといえます。債券型ファンドの運用報告書や目論見書などに、修正デュレーションが示されています。