結婚を考えるカップルや新婚の共働き夫婦で、将来的には子どもや住まいについて考えているが、具体的な計画が不足している、という方も多いでしょう。FPコンシェル株式会社代表取締役でFP兼マネーコンシェルジュである福本眞也氏の著書『お金は「金利」で増やすのです』(大和書房)より、一部抜粋して紹介する本連載。今回は、一般的な生活費や賃貸住宅事情などを考慮し、夫婦の資産構築戦略を具体的な事例を通じて分かりやすく解説します。
「貯蓄の部分から」貯蓄型保険に加入する
BさんとCさんは、2人分の教育費を考える必要があります。そこで、教育費を死亡などのリスクにも備えた貯蓄型保険で考えたいと思います。
このケースのように手取り資金が生活費に対して余裕のある世帯で、貯蓄以外の方法で教育資金確保の相談をされた場合には、私は貯蓄枠から「貯蓄型保険」に加入することをご提案しています。超低金利下で利息が大変少ないことがその理由です。将来の大学資金確保を見据えて保険料は月2万5,000円で、年間30万円です。解約返戻率が高くなりますので、可能ならば年払いがおすすめです。
保険に入るのは、当初は夫婦のどちらか1人で大丈夫ですが、今回は妻Cさんを契約者とします(その理由は後ほど説明します)。払込期間10年間(元本=年間保険料30万円×10年=300万円)の終身保険を選んだとしましょう。ちなみに、保険は10年間で元本保険料を支払い終わった後も、解約せずに放っておくことができます。その場合には、金利(利息相当額)を毎年享受することができます。解約するまでの間は、死亡保障がありますので、万が一の場合には保険金をご家族の生活費として備えられます。
ただし、この種の保険は契約後10年以内に解約すると、ペナルティにより解約返戻金が支払総保険料(元本)を大きく割ることがありますので、あくまで余裕資金で検討することをおすすめします。これから子どもが生まれて、最もお金のかかる大学入学時の18年後に保険を解約することで大学資金が準備できます。
保険の18年後の運用シミュレーション
元本 (支払保険料総額)……300万円
運用益……15万円
総額……315万円
ところで、日本では子ども手当が1972年から実施されています。金額は時代とともに増えており、今後も拡充される可能性はありますが、現在では子どもが15歳になるまでに、約200万円貯まるようになっています(第一子と第二子の場合)。
(子ども手当200万円+保険315万円=)515万円があれば、大学の費用としてはなんとかなりそうです。大学の年間の学費(平均)は、国公立大学で約243万円、私立大学文系で約398万円、私立大学理系で約542万円となっています。私立大学理系には27万円ほど足りませんが、そのくらいであれば貯金から捻出できるのではないでしょうか。
FPコンシェル株式会社
代表取締役
FP&マネーコンシェルジュ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(R)認定者
証券外務員
1987年京都外国語大学外国語学部英米語学科卒業後、ユニバーサル証券(現三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社、大和証券へ1年間出向し約8年勤務後、トロント・ドミニオン銀行・証券共同営業部長を経て、ナショナル・オーストラリア証券日本法人社長に就任。
その後、クレディ・スイス証券、JPモルガン証券など外資系投資銀行に勤務。資金調達(国内外株式・債券)とIPO実務を積み、クレジット・金利・為替・株式・コモディティ等のデリバティブ商品の組成・販売に従事し、幅広い金融知識とビジネス統轄の経験を生かし独立。
現在は住宅ローン、資産運用、保険の見直しなど、できる限りわかりやすい言葉で、顧客の理解にあわせてアドバイスすることをモットーにしている。
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