確定給付企業年金とは?何で運用されているか
確定給付企業年金とは、企業年金の一種で、従業員が退職後に受け取る年金の額が約束されているものです。企業が導入する場合、管理・運用と年金給付を外部の信託会社等に委託する「規約型確定給付企業年金」と、企業が別法人として「基金」を設立して管理・運用と年金給付を行わせる「基金型確定給付企業年金」があります。
いずれも、運用結果が悪かった場合でも給付金の額は決まっており、運用がうまくいかなかったことによる不足分は企業が補てんします。つまり、運用結果についての責任を企業が負うことになります。
なお、企業年金には他にも「企業型確定拠出年金」(企業型DC)があります。これは、企業が決まった額を拠出して、従業員が運用方法を選び、運用結果に応じて年金を受け取るしくみです。つまり、運用についての責任は従業員個人が負うことになります。
確定給付企業年金の基金は、国内外の株式・債券や、オルタナティブ(株式・債券と無関係な値動きをする商品)、生命保険(一般勘定)等で運用されています。それぞれの時価ベースでの構成比は直近では[図表1]の通りです。
変動の大きい「株式」の構成比は「国内株式」と「外国株式」を合わせて25%程度に抑えられています。これに対し、債券の比率は34%です。
債券は株式と比べるとリターンが限られる代わりに値動きが穏やかで、安定的な運用が見込まれると考えられています。
運用利回り低下の主因は「債券価格の下落」
しかし、債券の値動きが比較的安定しているとはいっても、下落することはあります。実際に、2023年の第2四半期における利回りが「マイナス」になった主な要因は、債券価格の下落です。
[図表2]は、2023年第1四半期と第2四半期と、これらを包括した上半期全体における株式・債券の市場騰落率をまとめたものです。
第2四半期においては、国内株式はプラスですが、外国株式、および債券はすべてマイナスになっています。このうち、マイナスがもっとも大きかったのは外国債券(為替ヘッジあり)、次いで国内債券、その次が外国債券(為替ヘッジなし)でした。
なお、外国債券の「為替ヘッジあり」とは、為替相場が「円高」になった場合でも値上がり益や利金を得られるよう、為替差損を回避(ヘッジ)するものです。その代わり、ヘッジのためのコストがかかり、かつ、円安になった場合の為替差益も得られません。
これに対し、「為替ヘッジなし」は、為替相場が円高になった場合には為替差損が発生し、値上がり益・利金と相殺し合ってしまいます。他方で、円安になった場合には為替差益が発生します。
以下、外国債券と国内債券のそれぞれについて、なぜ下落が生じたか、説明します。