発信者情報開示請求をするまでの基本的な流れ
発信者情報開示請求をする際の基本的な流れは次のとおりです。
スクリーンショットなどで証拠を残す
インターネット上で誹謗中傷などの被害に遭ったら、まずは書き込みのスクリーンショットなどを撮影して証拠を残しましょう。証拠を保全しておかなければ、相手が書き込みを削除などして証拠が消えてしまう可能性があるためです。
スクリーンショットは、次の内容がわかるように撮影します。
・書き込みの日時
・前後の書き込みなど発言の流れ
・投稿のURLなど
なお、スマートフォンから画面キャプチャを撮影した場合には、投稿のURLが掲載されないことが一般的です。そのため、スマートフォンでスクリーンショットを撮る際には、画像ではなくPDFでページ全体を保存するなど工夫するようにしてください。
また、書き込まれた内容によっては、できるだけ早く削除してほしいと考える場合もあるでしょう。その場合であっても、焦って相手に投稿の削除を求めたり、X(旧Twitter)社などのコンテンツプロバイダに削除請求をしたりすることはおすすめできません。
投稿が削除されてしまうと、スクリーンショットを撮影に抜けや漏れがあったとしても、追加での撮影ができなくなってしまうためです。そのため、投稿の削除を求めるのは、少なくとも弁護士へ相談してからのほうがよいでしょう。
できるだけ早期に弁護士へ相談する
投稿のスクリーンショットを撮影したら、できるだけ早く誹謗中傷問題にくわしい弁護士へ相談してください。誹謗中傷への法的措置は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。そのため、投稿がなされた当日や翌日などに相談ができるとベストです。
プロバイダに開示請求を行う
弁護士へ依頼すると、まずは弁護士からX(旧Twitter)などのコンテンツプロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。
ただし、コンテンツプロバイダが任意での開示請求に応じてくれる可能性はほとんどありません。コンテンツプロバイダが独自で書き込みの違法性を判断することは難しく、仮に違法性がない投稿について任意での開示をしてしまえば、書き込みをした側から訴訟などがなされるリスクがあるためです。
発信者情報開示命令の申立てを行う
コンテンツプロバイダが任意での開示に応じてくれない場合には、裁判上での発信者情報開示請求へ移行します。
※実務上ほとんどの場合、任意の請求は行わずに裁判上の請求をします。
必要に応じて提供命令の申立てを行う
発信者情報開示命令の申立てと併せて、状況に応じて提供命令の申立てを行います。提供命令の申立てを行うべきであるかどうかはケースバイケースで、弁護士の経験則に基づく高度な選択ですので、依頼先の弁護士とよく相談して検討する必要があるでしょう。
コンテンツプロバイダからIPアドレスなどの情報が開示される
発信者情報開示請求が認められると、コンテンツプロバイダから誹謗中傷などの投稿のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報が開示されます。
この時点では、まだ書き込みをした人の住所や氏名はわかりません。なぜなら、X(旧Twitter)社などのコンテンツプロバイダは、そもそも書き込みをした人の住所や本名の情報を保有していないことが多いためです。
アクセスプロバイダから契約者の情報が開示される
コンテンツプロバイダから開示されたIPアドレスやタイムスタンプなどの情報をもとに、KDDI社などのアクセスプロバイダに対して契約者情報の開示を請求します。こちらも任意での開示には応じてもらえないことが一般的であるため、裁判上での開示請求が必要となるでしょう。
アクセスプロバイダから情報の開示を受けることで、ようやく書き込みをした人が書き込みに使ったインターネットプロバイダの契約者住所や氏名がわかります。これでようやく、投稿をした人に対して損害賠償請求などをする準備が整ったということです。
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