これからは「海外市場」での伸びに注目
スマートフォンの普及に伴い、スマホ向けゲームの市場は大きく拡大しました。本書のケーススタディなどで取り上げた銘柄の中にも、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)をはじめ、コロプラ(3668)やKLab(3656)など、スマホ向けゲームの人気で株価が上昇したスマホ向けゲーム銘柄はいくつもあります。
気になるのは今後です。これからも、まだまだスマホ向けゲーム銘柄は注目できるのでしょうか。それとも、「今さらスマホ向けゲームではない」のでしょうか。筆者は、前者だと思っています。しかも、今後は国内というよりも海外市場での伸びに注目すべきと考えています。
スマートフォンの普及率は、国内でも海外でもかなり上がってきました。世界的に、携帯電話の2台に1台以上がスマートフォン、という状況になりつつあります。
ある統計によると、世界の3Gと4Gの端末はすでに30億台を超えているそうです。一方、ゲーム専用のハード機器は、これまでに世界で最も売れたとされるソニー(6758)のプレステシリーズでも合計は1億5000万台程度です。
つまり、プレステシリーズの20倍以上のゲーム端末(=3G以上の端末)が世界に普及しているのです。ゲームアプリに対する需要はまだまだ続くと見るのが妥当でしょう。
注目すべきポイントはもう一つあります。通信速度です。国内では、大容量で超高速の4G(LTE)端末が使われていますが、海外ではまだ3Gが主流という国も多いようです。今後は、海外でも4Gに対応するスマホが増えていくことは確実でしょう。そうなると、これまで以上に高機能なゲームを楽しむことが可能になります。
現在の日本のスマホでは、プレステ3(2006年発売)並の機能が使えるそうですから、プレステ3、2あたりで人気を博したソフトを、少々手を加えるだけでスマホに移植していくということも十分に可能ではないでしょうか。
ここまでが、スマホ向けゲームの業界全体に対する考え方です。では、具体的にはどういう銘柄が有望だと考えられるでしょうか。前述のガンホーやコロプラのように、これまでスマホ向けゲームで大成功を収めた銘柄でしょうか。その可能性も引き続きあるとは思いますが、世界市場を見据えたときにはもう少し違う切り口から銘柄を探っていくのがよいのではないかと私は考えています。
世界レベルでヒットするスマホ向けキャラクターゲーム
ポイントはIP(知的財産)です。平たく言うと、人気キャラクターを持っているところが強いのではないか、ということです。
すでに世界中の人に愛されているキャラクターがいて、それを使ったスマホ向けゲームが出てくれば、やってみたいと考える人の数は相当なものになるでしょう。キャラクターがすでに知れわたっていますから、広告宣伝費の節約にもつながるかもしれません。
著名なキャラクターというと、ディズニーやサンリオがまず浮かぶかもしれませんが、ゲームやマンガ発信でも世界中に知られているキャラクターは数多くあります。
たとえば、スーパーマリオをはじめとして人気ゲームのキャラクターを多数抱える任天堂(7974)。任天堂は、今後はスマホ向けゲームに本格進出する予定ですから、もしスーパーマリオのスマホ向けゲームが出てくれば、大ヒットの可能性もあります。
また、バンダイナムコホールディングス(7832)は、すでにパックマンやワンピース、ドラゴボールなどIPを活かしたスマホ向けゲームを配信していますが、ほかにも多くの人気キャラクターのゲームを扱っていますから、今後も注目できる存在と言えるでしょう。
中国株で紹介したテンセントも、中国で人気のあるIPをいくつもゲーム化しています。ゲームメーカーとキャラクターホルダーが、スマホ向けゲームで提携したり共同開発を行ったりということも今後活発になるかもしれません。
まとめると、今後は世界レベルでスマホ向けゲームがヒットする可能性があり、その際には人気キャラクターの存在というのがポイントになってくるのではないかということなのです。