投資家の菅下清廣氏は著書『50年間投資で食べてきたプロが完全伝授! 一生お金に困らない人の株式投資術』の中で、「インフレの時代に株式投資をすることがお金に困らない人生を手に入れるための近道となる」と言います。一体なぜでしょうか?その理由を本書から一部抜粋して紹介します。

バブル崩壊、紙きれになったゴルフ場の会員権

私はバブルのピーク時に、ゴルフの会員権を投資用に12個ほど所有していました。投資用とはいえ、接待などにも使えましたから一石二鳥。当時の日経平均株価は4万円に迫る勢いで、会員権もポンポンと値上がりしていきました。

 

たとえば、私の所有していた成田ゴルフ倶楽部の会員権の購入額は8,000万円程度。もちろん、銀行の融資がなければ、とうてい買うことはできない額です。ただ、当時の銀行は、ゴルフ場の会員権を担保にしさえすれば、ほぼ100%お金を貸してくれました。これがバブルというものです。

 

構造としては、2008年に起こったリーマン・ショックの引き金である「サブプライムローン」と同じです。アメリカの金融機関は、顧客が1億円で購入した住宅が、やがては1億2,000万円になることを見越して貸していました。

 

もし、金融機関の「不動産価格は上がる」という読みが外れたら……、そう考えるとぞっとしますが、実際、アメリカの不動産価格はがくっと下落して、お金を借りた人たちも、金融機関も、アメリカ経済もダメになってしまったのです。

 

これと同じことがバブルでも起こったのです。

 

そんなバブル崩壊の足音がひたひたと迫るなか、私は「天井近し」と察知しました。そこからは迷うことなく、ほぼすべてのゴルフ場の会員権を、専門の取引業者を通して、株でいうところの「成り行き」で売却しました。悠長に値段交渉している時間はないと考えたのです。幸い、世の中全体はまだバブル真っ只中でしたから、売れたものはすべて買値よりも高く売れました。

 

しかし、ひとつだけ売れなかった会員権が手元に残りました。横浜のゴルフ場の会員権で、売れなかった理由は、そのゴルフ場がまだオープンしていなかったからです。

 

その後、その会員権の価格はどうなったかといえば、お察しの通り、大暴落。それもそのはず、1990年4月以降、株価はどっと下がり始めていましたから、会員権も例外ではありません。

 

そのころ、件のゴルフ場がようやくオープンしたのですぐに売却したところ、買値4,000万円に対して、売値は1,000万円。差し引き3,000万円のマイナスですが、即刻売りました。さらに後、そのゴルフ場は倒産し、会員権は紙きれになりました。

 

私がこの経験を通して学んだ教訓は、投資では買いは慎重に少しずつ、売りは瞬時に判断しなければならないということでした。

 

しかし、これは言うは易しで、簡単ではありません。当時の私も、買値の4分の1で売却するのは正直、嫌でした。先に売った11個の会員権の含み益があったからこそ、瞬時に決断ができたのです。投資先を分散させることも大切です。

 

※本連載は、菅下清廣氏による著書『50年間投資で食べてきたプロが完全伝授! 一生お金に困らない人の株式投資術』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

50年間投資で食べてきたプロが完全伝授! 一生お金に困らない人の株式投資術

50年間投資で食べてきたプロが完全伝授! 一生お金に困らない人の株式投資術

すがした きよひろ

KADOKAWA

百戦錬磨のプロ投資家が、イヤでもお金が増えるデフレ時代の投資術を解説! 投資に使えるお金はあんまり多くないけれど、一生お金の心配をして暮らすのはつらい… そんな人のために、50年間山も谷も超えて勝ち残り、投資で…

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