賃貸経営で税金対策のはずが…「フラット35」で物件を“買わされた”エリート会社員、〈自己破産〉の危機【不動産投資のプロが解説】

賃貸経営で税金対策のはずが…「フラット35」で物件を“買わされた”エリート会社員、〈自己破産〉の危機【不動産投資のプロが解説】

今回の相談者は、仕事のパフォーマンスに対して手取り金額が少ないと嘆く大手医療機器メーカーのエリート営業マン。「税金対策」のために賃貸経営を始めますが、後に、自身が大規模な詐欺事件に巻き込まれていることに気づきます。本稿では、株式会社JKASの「不動産投資に困ったときのあなたの街の相談窓口」代表を務める中村悠樹氏が、相談事例に基づき不動産業界に跋扈する詐欺の手口について解説します。

「違約金800万円」を盾に、虚偽の申し出を迫られ…

契約の当日。業者の説明によると、午前中に不動産の売買契約を済ませ、午後には金融機関とのローン契約(金銭消費貸借契約)が控えているとのこと。不動産の売買契約に印鑑を押すと、担当者から金融機関との面談時のレクチャーを受けることになりました。

 

レクチャーでは、「この物件に居住しますか?」という質問に対しては「はい」と答えるようにいわれ、本橋さんは青ざめましたといいます。なぜなら、購入する物件の所在地は横浜で、本橋さんの居住地・勤務地は栃木。横浜に住むなどということは、現実的に考えてあり得ないためです。

 

「本当は住まないのに」と、虚偽の申し出をすることに反対すると……

 

すでに契約は成立しており、レクチャー通りに答えなければ契約書にある通り、違約金800万円を支払ってもらうことになります」といわれ、恐ろしい気持ちになりました。しかし金融機関との面談時間も迫っており、本橋さんはもう後戻りできない状況に追い込まれてしまいました。

サブリース賃料が8ヵ月間滞納…さらに「立退料50万円」の請求

面談時、金融機関から「この物件にお住まいになりますか?」と聞かれた本橋さんは、レクチャー通り、「はい」と答えてしまいました。

 

栃木に勤務する本橋さんが横浜の物件に住むということ自体、普通ではありません。しかし、担当者からは深く質問されることもなく、すんなりと処理は進みました。訳もわからぬまま、本橋さんは「フラット35」を利用した不動産オーナーとなったのです。

 

その後、担当者の説明通り、サブリース賃料が本橋さんの口座に振り込まれました。

 

本橋さんは賃料をそのままローンの返済に充てました。しかしその後、何の前触れもなくサブリース賃料が振り込まれなくなり、滞納は8ヵ月も続きました。そこで本橋さんが「賃料を支払わないならサブリースを解除する」と訴えると、借地借家法を盾に怒鳴られ、反対に立退料50万円を請求されたといいます。

 

本橋さんは「それで縁が切れるなら仕方ない」と、50万円を支払ってしまいました。

 

しかし、その後届いた解約合意書には、8ヵ月の滞納分も精算済になるとの記載が。サブリースは解約できたものの、8ヵ月分の家賃に相当する約100万円は未だに支払われておらず、現在弁護士に相談しているとのことです。

 

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