メンテナンス費用はほとんど「テナント側」が負担
工場・倉庫の賃貸借では、ほとんどの場合、メンテナンス等の費用はテナントが負担します。基本的に工場・倉庫は何もない状態で引き渡され、必要な設備はテナントの側で用意するからです。
例外的に、前のテナントが置いていったクーラーなどの造作を新たに入居したテナントに使わせるような場合には、そのメンテナンス費をオーナーが負担しなければならなくなることもありますが、契約書で「前のテナントが設置した残置物なので、責任を負いません」と一筆記しておけば、その義務を免れることは十分に可能です。
したがって、工場・倉庫に投資した場合、建物の維持に関してオーナーが負担すべきコストは、せいぜい外壁塗装や防水対策にかかる費用程度と思ってよいでしょう。
しかも、そうした最低限の維持費も、マンションに比べればはるかに低額ですむはずです。工場・倉庫はいわば「真っ平らな箱」であるため塗装等が必要となる面積は少なく、また作業の足場を設けるのも容易なことから材料費、人件費等を安く抑えることが可能だからです。
このように、工場・倉庫投資では維持費がほとんどかからない結果、最終的な生涯利回りがマンション、アパートよりもはるかに大きくなることを期待できるでしょう。
マンションのように「排水縦管」の取り換えも必要なし
なお、築年数が40年以上の古いマンションでは、排水縦管に塩ビ管ではなく、鉄管が使われているものが少なくありません。この鉄管が経年により痛み、漏水の原因となることがあります。
実際、今、中古マンションでは鉄管を巡るトラブルが問題化しており、「天井から汚水が流れてきた!」というような住民の悲鳴があちらこちらで起こっているところです。
したがって、中古マンションに投資する場合には、漏水トラブルを避けるために、排水縦管を全て取り換えなければならないことを、そのために多額のコスト負担が発生するおそれがあることを念頭に置いておく必要があるでしょう。
一方、工場・倉庫には、基本的に排水縦管が存在しないので、購入した物件がどんなに老朽化していたとしても、マンションのように鉄管を取り換えるために大きな出費を強いられるようなことはありません(地中の排水管を取り換えなければならないことはありますが、さほど費用はかかりません)。