日本に訪れる衝撃の未来図…日本人男性「生涯子どもを持たない」人およそ半数で、国民激減の恐怖【公認会計士が解説】

日本に訪れる衝撃の未来図…日本人男性「生涯子どもを持たない」人およそ半数で、国民激減の恐怖【公認会計士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進展する日本。生涯にわたって子どもを持たない人が増えています。子どもを持たない人の増加は、社会にどのような影響を及ぼすのでしょうか。数字を追うと、未来の深刻な状況が浮かび上がってきました。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

1970年生まれの女性の27%が「子どもなし」…先進国でも突出

生徒:近年では、日本の少子高齢化がますます進展しているようです。

 

先生:そうですね。国立社会保障人口問題研究所が2023年に公表した将来人口推計報告書によれば、2005年生まれで2023年に18歳になる女性は、50歳の時点で子どもを持たない人が42%になるといわれています。少なく見積もっても、女性の3人に1人は子どもを持たない人生を送ることになりそうです。

 

生徒:そんなに多いのですか?

 

先生:男性の場合、女性より未婚率が高いですから、最大5割程度、男性の2人に1人が子どもを持たない人生を送ることになりそうです。

 

生徒:どうして子どもを持たないのでしょうか。「子どもを持つことよりも、仕事を優先する」といった価値観の変化が原因なのでしょうか?

 

先生:そうかもしれませんね。1970年生まれで2023年に53歳になる女性で見ると、アメリカなどの先進国で一生涯子どもを持たない女性の割合は1割から2割程度ですが、日本では27%と突出して高くなっています。女性の4人に1人は子どもを出産していないのです。日本と外国の差は、今後ますます広がっていく可能性がありますね。ちなみに、厚生労働省が公表したデータによれば、日本の婚姻数と出生数はどんどん減少を続けていて、2023年の出生数は76万人になっています。

 

出典:厚生労働省「令和4年 人口動態統計」
[図表1]婚姻数・出生数の推移 出典:厚生労働省「令和4年 人口動態統計」

妻35歳未満の夫婦、子どもを作らない理由に「お金がかかる」77%

生徒:アメリカやヨーロッパでは、近年、子どもの数が増えてきていると聞きました。仕事と子育てが両立しやすい環境が整備されてきているからだといいます。日本では女性が働きやすい環境は整備されないのでしょうか?

 

先生:日本でも「働き方改革」などが行われ、女性が働きやすい環境になりつつあります。しかし日本では、そのような環境でも、子どもを作る意欲そのものが低下しているようです。若い未婚者のなかで「生涯独身でいい」と考える人が急増しているからです。これは、低い賃金と将来への不安で、子どもを養っていく経済力に自信がないことを意味しているのでしょう。

 

出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回 出生動向基本調査」
[図表2]生涯独身でいいと考える人の割合の推移 出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回 出生動向基本調査」

 

生徒:たしかに将来は不安です。

 

先生:結婚する人の数も減っていますが、結婚したあとに子どもを作らない夫婦の数も増えています。厚生労働省が2023年3月に公表したデータによれば、妻が35歳未満の夫婦で、子どもを作ろうとしない理由に「お金がかかる」との回答が77%もありました。また、29歳までの若年層の人たちの平均月収は、正規労働者で約25万円、非正規労働者で約21万円です。

 

生徒:いまはインフレが進んでいて教育費の負担が重いですし、子どもを産んでも認可保育園に入れることが難しい状況ですから、子育てしづらいですね。あと、大学時代に借りた奨学金の返済が続きますし…。金銭的な心配が多いです。

 

先生:さらに少子高齢化が進んでいきそうですね。

今後は介護費用・医療費の増大で、財政が大赤字の可能性も…

生徒:日本はこれからどうなるのでしょう…。

 

先生:1970年には65歳以上の高齢者1人に対して、64歳までの人は9.8人もいました。2020年は高齢者1人に対して2.1人に減りました。2065年には、高齢者1人に対して1.3人まで減ってしまいます。将来の日本は、街に高齢者があふれかえり、子どもの声が聞こえない社会になるでしょうね。

 

[図表3]高齢者1人に対する労働人口の推移

 

生徒:高齢者ばかりになると、どんな不都合があるのでしょうか?

 

先生:働く人の不足によって長時間労働が常態化し、ワーク・ライフ・バランスが悪化することで、さらに少子化が進むという悪循環につながるおそれがあります。人口が少ない自治体では行政サービスが提供できなくなるので、企業の廃業や撤退などが進んでいき、地方の過疎化が進むでしょう。日本創成会議が2014年に公表したデータによれば、このまま少子化が進むと、2040年までに全国の地方自治体の半数が消滅の危機に瀕するおそれがあると指摘されています。

 

生徒:そういえば、私の地元でも小学校が統合されました。

 

先生:若年層が仕事を求めて地方から都市部へ移住することで、東京の一極集中が進むことになりそうですね。

 

生徒:私たちの医療や年金など、社会保障についてはどうでしょうか?

 

先生:地方自治体は、産業の衰退と労働人口の減少によって税収が減少する一方で、高齢者に対する公的な介護費用や医療費が増加して、財政が大赤字となる可能性が高いといえます。

 

生徒:子どもがいない人が高齢になったとき、住まいは確保できるのでしょうか。

 

先生:持ち家がなければ家を借りるしかありませんが、賃貸借契約を行うには保証人が必要です。もちろん、高齢者が借りる場合も同じです。保証人が探しにくい、身寄りのない高齢者は、UR以外の賃貸住宅を借りることが難しくなるでしょう。

 

生徒:少子高齢化が進む日本の未来は真っ暗ですね…。

 

 

岸田 康雄

国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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