ツタンカーメンとアンケセナーメン(※PIXTAより)

「歴史はツッコミづらい人が作る、と思うのです」世界史ゆっくり解説系YouTuber・弥嶋よつば氏はそう語ります。ハプスブルグ家に「それ以上の近親婚は、しゃくれてしまいます」なんて誰が言えるでしょうか。離婚したいがために英国国教会を設立し、妻の罪をでっちあげて処刑したヘンリー8世。「どんだけ離婚したいねん」「自分が処刑されろ」と総ツッコミが入れば、現在の英国国教会は存在しなかったでしょう。歴史を作った数々のボケにツッコめる時がやって来ました。弥嶋よつば氏、平松健氏による書籍『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、紹介します。

<前回の記事>少年王ツタンカーメン(享年19)、ホルモン異常で“女性化”していた…教科書に載らない「王家の話」 

王族は近親婚ばかりだが…さすがに「祖父×孫娘」は嫌だった

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

 

もなか:「アイだ。アンケセナーメンの父方で見ると大おじ、母方で見ると実の祖父だ(図表1)。」

 

出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)
[図表1]エジプトの王家家系図 出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)

 

みるく:「おいこらジジイ―――――!!」

 

もなか:「ジジイ言うな。しかし、この話は有名だけど実は根拠が薄いんだ。アイがアンケセナーメンとの結婚を狙った証拠とされているのは、2人の名が刻まれた指輪の受け座がただ1つあるだけ。」

 

みるく:「古代エジプトといえど、さすがに実の孫娘との結婚は尋常じゃなさそうだもんね!」

アンケセナーメンの画策

もなか:「アイは長年、臣下としてファラオに仕えていた。跡継ぎのいないツタンカーメンが生前、身内の中で年長のアイを王位継承者に選んだという見方もある。ただ、わかっているのはアンケセナーメンが王妃の地位を手放したくなかったということだ。」

 

みるく:「王妃の地位を?」

 

もなか:「そう。彼女がヒッタイト王国のスッピルリウマ1世に宛てた手紙が残っている。」

 

みるく:「すっぴるりうま!」

 

アンケセナーメン:『私の夫は亡くなりました。息子はいません。しかし、あなたには王子が大勢いらっしゃると聞きます。王子の中から1人を私にいただけたら、その方を夫にしたいと思います。』

 

みるく:「夫に!?」

 

アンケセナーメン:『私は臣下から夫を選ぶつもりはありません。』

 

みるく:「臣下ってもしかしてアイのこと?」

 

もなか:「わからないが、だとすると実際にアイと結婚話があったようにも思えるね。」

 

アンケセナーメン:『王子が私の夫となり、エジプトの王となるのです。』

 

もなか:「つまり、アンケセナーメンはヒッタイトの王子と結婚し、夫はファラオとなり、自分は王妃となるつもりだったんだ。」

 

みるく:「なるほど、そうすればアイと結婚しなくても王妃でいられるもんね。」

 

もなか:「エジプトの王女は近親婚ばかりというのは有名だったから、スッピルリウマ1世は疑っていた。しかし、王子をファラオにできるというのは魅力的な話なので、やがて承諾した。そして息子の1人、ツァナンツァ王子が送り出されたよ。」

 

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

 

もなか:「しかし、王子はエジプト国境で何者かに待ち伏せされ、殺されてしまう。」

 

みるく:「おおおお―――い!!」

 

もなか:「ツァナンツァ王子にファラオの座を奪われないよう、アイが仕組んだといわれている。」

 

みるく:「アイめ――!!」

 

もなか:「このせいでエジプトとヒッタイト王国の関係は悪化した。そして、結局アイとアンケセナーメンは結婚したと言われる。」

 

みるく:「いやあああアンケセナーメンちゃ――ん!!」

 

 

もなか:「だが実際のところ、ヒッタイトへ手紙を送って以降のアンケセナーメンの記録は残っていないんだ。もし、アイがツタンカーメンから後継者に指名されていたのなら、アンケセナーメンと結婚する必要はないだろう。アンケセナーメンは後宮へ退いたのか、あるいは…。」

 

みるく:「え?」

 

もなか:「アイの王位を脅かしたとして処罰を受けた可能性もあるという。幽閉か、処刑か…。」

 

みるく:「いやああ!!」

 

もなか:「彼女が天寿を全うできたことを願うしかない。」

 

みるく:「うぅ、無事でいてねアンケセナーメンちゃん。」

次ページアイ、ファラオ「ケペルケペルウラー」として即位するも…

※本連載は、弥嶋よつば氏(著)、平松健氏(監修)の書籍『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

明日誰かに話したくなる 王家の話

明日誰かに話したくなる 王家の話

弥嶋 よつば(著)
平松 健(監修)

KADOKAWA

【人気YouTubeチャンネル「よつばch」、待望の書籍化】 権力を分散させないために、近親婚を繰り返したスペイン・ハプスブルク家。「王の長女は王以外の王族男性と関係が持てない」など謎のルールが多数存在する古代エジプト…

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