【衝撃の史実】現代人から見ると「アメンホテプ3世=女好き&歯槽膿漏のおっさん」。ツッコミどころだらけの「エジプト・ツタンカーメン家」

【衝撃の史実】現代人から見ると「アメンホテプ3世=女好き&歯槽膿漏のおっさん」。ツッコミどころだらけの「エジプト・ツタンカーメン家」
(※写真はイメージです/PIXTA)

「歴史はツッコミづらい人が作る、と思うのです」世界史ゆっくり解説系YouTuber・弥嶋よつば氏はそう語ります。ハプスブルグ家に「それ以上の近親婚は、しゃくれてしまいます」なんて誰が言えるでしょうか。離婚したいがために英国国教会を設立し、妻の罪をでっちあげて処刑したヘンリー8世。「どんだけ離婚したいねん」「自分が処刑されろ」と総ツッコミが入れば、現在の英国国教会は存在しなかったでしょう。歴史を作った数々のボケにツッコめる時がやって来ました。弥嶋よつば氏、平松健氏の書籍『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、紹介します。

古代エジプトの中でもかなりカオス!ツタンカーメン家

イラスト:弥嶋よつば 出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)
[図表1]キャラ紹介 イラスト:弥嶋よつば
出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)

 

もなか:「本連載では古代エジプト18王朝に登場する、ツタンカーメンの家系図(図表2)を追っていこう。」

 

出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)
[図表2]エジプトの王家家系図 出所:弥嶋よつば(著)・平松健(監修)『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)

 

みるく:「ツタンカーメンかぁ! 有名ね。」

 

もなか:「古代エジプトの長い歴史の中でも、このあたりの家系図はかなり混沌としている。エジプトの研究は日進月歩であり多くの説が存在するが、その中でも私が気になったものを追っていこう。はるか昔、彼らが紡いだと思われる物語を。」

 

みるく:「楽しみだわー。」

歯槽膿漏のおっさん、アメンホテプ3世(図表3)

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

 

紀元前1401年頃~。古代エジプト第18王朝の9代目ファラオ。歯槽膿漏。(写真=British Museum, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons)
[図表3]アメンホテプ3世 紀元前1401年頃~。古代エジプト第18王朝の9代目ファラオ。歯槽膿漏。(写真=British Museum, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

 

もなか:「諸説あるが、紀元前1388年頃、12~15歳でファラオ(王)になったと言われている。」

 

みるく:「ファラオであることより先に歯槽膿漏を紹介すな。」

 

もなか:「歴史的には影の薄いファラオだが2020年に彼の時代の古代都市『アテンの日の出』が発見されたことで注目されているよ。『アテンの日の出』によって、彼の時代のエジプトは非常に発展した古代都市で豊かで平穏、約38年という長い治世に恵まれたということがうかがい知れるよ。実際は先祖の遺産をかなり食いつぶしたけど、見た目は最も栄華を極めた。建築事業はエジプト全域に及び、芸術や工芸、ガラス製品や陶器などさまざまな分野でも隆盛を極めたよ。」

アメンホテプ3世の王妃ティイ ~平民出身者との異例の結婚

もなか:「アメンホテプ3世は王族じゃない女性、ティイ(図表4)と結婚する。ティイは平民出身という異例の王妃とされているが、王族ではないというだけでエジプトの名門家系出身だったという。アメンホテプは結婚の知らせを大きな記念スカラベに刻んだ。」

 

紀元前1937頃~。アメンホテプ3世の王妃。父はイウヤ、母はチュウヤ。兄はアイ。(写真=EditorfromMars, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)
[図表4]ティイ 紀元前1937頃~。アメンホテプ3世の王妃。父はイウヤ、母はチュウヤ。兄はアイ。(写真=EditorfromMars, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)

 

みるく:「スカラベって何?」

 

もなか:「フンコロガシだ。古代エジプトでスカラベは太陽神ケプリの化身として崇拝されていた。金などでスカラベの護符や印章が作られ、裏面に王朝の記録を刻んだのさ。」

 

みるく:「フンコロガシに歴史を刻まれてもなぁ。」

 

もなか:「当時はそれでいいんだよ! ティイの父はイウヤという王の臣下で、『神の父』という立派な称号を持っていたという。おそらく『王の義父』という意味だろう。ティイの母はチュウヤという名で、称号は『偉大な王の妻の王家の母』。」

 

みるく:「長いしややこしいな! そのうち『偉大な王の妻の友達の隣人』とか出てきそう。」

 

もなか:「ただの他人じゃねぇか。他にもアイという兄もいたよ。そしてアメンホテプ3世とティイの仲は良好だったという。」

 

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

遊び好きの王 ~アメンホテプ3世、女性300人でハーレム形成

もなか:「アメンホテプ3世は狩りが好きな遊び好きの王で、余暇を楽しむためテーベ西岸にマルカタ王宮を建造している。他にも建造した後宮『メディネト・グローブ』には、女性を300人も抱えてハーレムを作っていた。」

 

みるく:「女の子集めすぎやろ! そんなんでよく夫婦仲がよかったわね。」

 

もなか:「ティイは毅然とした態度で、王妃として臣民から尊敬される存在であり、彼女の肖像からは目鼻立ちがハッキリした気が強い女性だったことがうかがえる。記録に残っていないだけで、ティイは毅然とした態度で、王妃として臣民から尊敬される存在であり、彼女の肖像からは目鼻立ちが陰ではアメンホテプをぶん殴ってたかもしれないけど。」

 

みるく:「気が強いもんね。ぶん殴った後、」

 

ティイ:『これはフンコロガシに刻むんじゃねぇぞ!』

 

みるく:「って脅しとけば記録にも残らない。」

 

もなか:「王妃がフンコロガシって言うなよ!」

近親婚 ~アメンホテプ3世は「自分の長女」とも結婚

もなか:「アメンホテプとティイには、子供が生まれる。トトメス、スィトアムン、イシト、ヘヌトタネブ、ネベトイアハ、ベケトアテン、アメンホテプ4世。」

 

みるく:「多いな。」

 

もなか:「トトメスとアメンホテプ4世が男の子、あとは女の子だ。長女のスィトアムンは子供たちの中でも目立つ存在だったよ。なんせスィトアムンは、父親のアメンホテプ3世と結婚したのさ。」

 

みるく:「おおおおーーーい!」

 

もなか:「この時代、長女は父親である王を支えることができ、王族の中でも特別な地位を得るようになっていたんだ。スィトアムンは『偉大なる王の妻』の称号を授かっている。」

 

みるく:「それはティイちゃんのことでしょ! 娘を王の妻にすな!」

 

もなか:「まぁ、これはスィトアムンに特別な地位と居室、収入源を与え、さらに年老いたティイを支えるための便宜上の結婚と考えられる。だが、ガチ結婚の可能性もなくはない。」

 

みるく:「なんで!?」

 

もなか:「王の長女は、王以外の王族男性と関係を持てなかったんだ。」

 

みるく:「逆やろ! 王とだけ関係を持てなくしろ!」

 

もなか:「それに、エジプト神話の太陽神ラーが娘である女神ハトホルと結婚している。神が父娘の結婚という前例を作ってるのさ。」

 

みるく:「作るな。」

 

もなか:「とはいえスィトアムンに子供がいたという記録はないから、便宜上の結婚だと思うことにしよう。」

 

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

ミタンニの王女 ~アメンホテプ3世、9歳児にも求婚

もなか:「一夫多妻の時代、アメンホテプ3世は20代の頃にミタンニの王女でシュタルナ2世の娘ギルへパ(Gilukhipa)と結婚。そして治世36年、当時としては高齢の50歳近い頃、彼は口うるさい側近や神官団に嫌気がさしてマルカタ王宮に引きこもりながら6年にもわたって結婚を要請し、膨大な量の黄金と引き換えにミタンニの王女タドゥヘパ(Tadukhipa)と結婚。彼女は15歳の美少女だった。」

 

イラスト:弥嶋よつば
イラスト:弥嶋よつば

 

みるく:「しかも6年も要請してたって、タドゥヘパちゃんが9歳の時から結婚しようとしてるやん! 逃げて! こっちよ!」

 

もなか:「タドゥヘパを逃がすんじゃない!」

 

みるく:「相手は引きこもりのおっさんよ!」

 

もなか:「引きこもり言うな。政略結婚だから仕方ないんだよ。結婚はミタンニ王国と友好関係を築くためとも、アメンホテプの女好きが衰えを知らなかったからとも言われる。」

 

みるく:「後半の理由、最悪なだけやん!」

 

もなか:「せっかくタドゥヘパと結婚したアメンホテプだが、この時はもう歯槽膿漏でほぼ病人だった。」

 

みるく:「ほんまに歯槽膿漏のおっさんだったー!」

 

もなか:「そのためタドゥヘパはミタンニ王国からお土産としてイシュタール神の像を持ってきていたという。神の御利益で歯槽膿漏を治そうとしたのさ。」

 

みるく:「治らないのよ! そこはデンタルフロスとかじゃないと!」

 

もなか:「歯槽膿漏はさらに悪化。」

 

みるく:「でしょうね!」

 

もなか:「アメンホテプは最後の望みをかけ、ミタンニ王国に手紙を送り…。」

 

みるく:「良い歯磨き粉を送ってもらおうとしたのね。」

 

もなか:「もう1体イシュタール像を送ってもらうよう頼んだ。」

 

みるく:「そうじゃないのよ。」

 

もなか:「結局、即位から約38年、アメンホテプ3世はこの世を去った。」

 

みるく:「悲しいわねー。電動歯ブラシがあれば助かったのに。」

 

もなか:「イシュタール像は間に合わなかったという。」

 

みるく:「間に合ってても意味ないから!」

 

 

【著】弥嶋 よつば

「よつばch」を運営する、世界史ゆっくり解説系YouTuber。学生時代に家系図に興味をもったことがきっかけで世界の王家・名家の歴史に深い関心を抱くようになり、2020年に初めて解説動画をYouTubeにアップしたところ、1ヵ月で登録者数2.5万人となった。これまでにハプスブルク家、メディチ家、ロマノフ家などの動画が人気をあつめ、現在登録者数19.7万人(2023年9月)。

 

 

【監修】平松 健

河合塾世界史科講師。高校時代にポエニ戦争のハンニバルのアルプス越えに衝撃を受け大学でローマ史を学ぶ。大学在学中に塾講師のアルバイトをしたことで予備校講師を志す。その後、予備校講師として勤務する傍ら、大学院に進学し「歴史を学ぶ意味」や「暗記型授業」からの脱却を研究する。「受験は楽しく乗り切る」がモットーで授業中は笑い声が絶えない。また、授業内容は受験に関する知識にとどまらない深い話も多く、「受験にとどまらない世界史を学ぶことができた」との声が毎年寄せられる。著書に『改訂版 大学入学共通テスト 世界史B予想問題集』(KADOKAWA)がある。YouTubeチャンネル「平松の世界史鉄則集」も好評。

 

※本連載は、弥嶋よつば氏(著)、平松健氏(監修)の書籍『明日誰かに話したくなる 王家の話』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

明日誰かに話したくなる 王家の話

明日誰かに話したくなる 王家の話

弥嶋 よつば(著)
平松 健(監修)

KADOKAWA

【人気YouTubeチャンネル「よつばch」、待望の書籍化】 権力を分散させないために、近親婚を繰り返したスペイン・ハプスブルク家。「王の長女は王以外の王族男性と関係が持てない」など謎のルールが多数存在する古代エジプト…

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