アクエンアテンの宗教改革 ~アメンホテプ4世、宗教をぶっかき回す
もなか:「そんなツタンカーメンがファラオになるのはもう少し先だよ。父アメンホテプ4世は神官たちの勢力がファラオに迫るほど強くなっていたのを嫌って、都をテーベからエジプト中部の何もない土地に新都を建設し、『アテンの地平線』を意味するアケト・アテンと名付けた。この遺跡は現在ではテル・エル・アマルナの名で知られている。そして宗教を、それまでのアメン神をはじめとする多神教から『アテン神』を唯一の神とする一神教への宗教改革を行った、とても急進的なファラオだったんだ。」
みるく:「都を移したり、一神教にしたら神官たちの力が弱くなるの?」
もなか:「簡単に言えば、神官って神様や都を祭っている人たちであり、その神様も都も別のものに変えてしまえば神官の役割がなくなるってわけなのさ。父親のアメンホテプ3世も神官たちとは距離を置いて引きこもってたりしたから、元々神官とは仲がよくなかったんだろうね。そして、アメンホテプ4世は名前を『アテン神に有益なる者』や『アテン神の生ける魂』を意味する『アクエンアテン』と改めた。
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【監修者・平松氏のワンポイント】:アメンホテプ4世
神官団から権力を奪いたい彼は自らの神格化と一神教への転換を図って、唯一神アトン(アテン)信仰を創出しました。多神教が常識の世界で一神教への転換を図ることは、当時としては衝撃的な出来事でした。
一神教への転換を図る上で、まずかったのが彼の名前です。アメンホテプというのは「アメン神は満足したもう」といった意味だったからです。そこで彼は、イクナートン(アクエンアテン)と改名しました。名前に神名が入っているなんて驚きですね。
宗教を変え、首都を変え、名前を変えた彼は、専制君主として独裁を行いますが、死後はすべてが否定され新都も破壊されてしまいました。
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もなか:「そんな宗教ぶっかき回しファラオのアクエンアテンだが、他にも結婚している。」
みるく:「どんだけ結婚すんねん。」
もなか:「その相手は…、長女メリトアテンと、三女のアンケセナーメンだ。」
みるく:「えええ!?」
もなか:「次女のメケトアテンとも結婚していたというエジプト学者もいるんだけど、長女と三女以外はアクエンアテンの治世12年の大祭りからほどなくして亡くなっているから定かではない。」
みるく:「どっちにしてもイヤだわ! ていうか、便宜上の結婚なのよね?」
もなか:「ああ、そうだといいんだが…。メリトアテンとアンケセナーメンは、どちらもアクエンアテンの子供(娘)を1人ずつ生んでいる。」
みるく:「いやあああ!!! 時代が違うとはいえきついわ! 今だったら逮捕できるのに…アイアン・メイデンに入れられるのに!」
もなか:「なんで中世ヨーロッパの拷問器具に入れるんだ! 今でも無理だよ! アクエンアテンの治世12年以降、共同統治者としてアンクケペルウラー・ネフェルネフェルウアテンが登場する。これはネフェルティティのことだと考えられる。」
みるく:「共同統治者? ネフェルティティちゃんも女王になったのね!」
もなか:「アンクケペルウラーの意味は『太陽神ラーが生きることの現れ』だ。ここではややこしいので引き続きネフェルティティと呼ぼう。神々に供え物をささげる儀礼の時、アクエンアテンが不在の時は彼女が王の代わりを行い、その際は、メリトアテンが王妃の役割を務めた。ちなみにメリトアテンにも称号があり、ネフェルティティと同じ『偉大なる王の妻』、『王の愛する人』や、『王の体より出でしメリトアテン』。」
みるく:「いろいろ称号がいっぱいあるのね。」
もなか:「『偉大なる王の愛する王の妻より生まれし者』。」
みるく:「長いな!」
もなか:「『長命であるように』。」
みるく:「ただの願望というか呼びかけ!」
もなか:「そういう称号なんだから仕方ないだろ。」